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【山本一力の人生相談】暴言夫、退職後が憂鬱

相談

 50代の主婦。夫はささいなことでキレ、暴言で私をののしります。先日も夕食の最中に突然、「このクソ人間」「バカ女」と言われました。普段はなるべく会話を避け、「うん、そうだね」と話を合わせます。娘が数年前に「お父さんは間違っている」と言った際、夫は「俺と同じ給料をもらってきたらお前らの言うことを聞いてやる」と返してきました。私も「バカ女といわれたことは忘れない」と伝えましたが、夫は「いつそんなことを言った?」と意に介しません。息子に発達障害があり専業主婦の私と息子の自立は難しいです。定年後ますます長い時間を過ごすことになる夫と、どのように付き合えばいいでしょうか。

回答

 相談内容の締め括(くく)りを拝読する限り、離婚は考えておられないと拝察する。

 突然にキレて声を荒らげるとの、あなたの言い分。日々、大いなる苦痛を感じておいでのことだろう。

 わたしもしばしば、カミさんからきつい指摘を受ける。

 「気にいらないことを言うと、いきなり物言いが尖(とが)ってこまります」と。

 なぜそうなったのか、男の側から一例をなぞり返してみたい。

 たとえば、今日の昼メシになにを食べるかのような、他愛もない会話。

 「なにがいいか言って」と、カミさん。

 「おまえはなにが食べたいんだ」と問い返すと、「なんでもいい」との返事。

 ならばと、わたしは好みを言う。

 「オムライスかチャーハンがいい」

 これを聞いたカミさんは。

 「オムライスもチャーハンも、今日は食べたくない」と、のたまう。

 「なんでもいいと言ったじゃないか」と、ここで亭主は語気を強める。

 「すぐに怒らないでよ」と、亭主は不意に声を荒らげると決めつけられる。

 おおむねこんなことを繰り返しつつ、夫婦は暮らしを続けているのではと思う。

 相談者のあなたはしかし、そんな簡単なものじゃないと、異議(いぎ)をお感じだろう。

 が、細部は違っていても、こんないさかいは、どこの夫婦も体験していないか。

 その上で続けるか、離婚するか。

 東京五輪は延期と決まった。

 今後に生ずる膨大な難儀を承知で、中止ではなく延期を決めた。

 大事を決断する際の最強手本を見たし、解決方法の子細は今後、明らかになろう。

 離婚を選ばぬなら、相手を責め続けても、その延長線上に答えはない。

回答者

山本一力 作家。昭和23年生まれ。平成9年「蒼龍」でオール読物新人賞を受賞しデビュー。14年「あかね空」で直木賞受賞。近著に「牛天神 損料屋喜八郎始末控え」(文芸春秋)、「長兵衛天眼帳」(角川書店)、「ジョン・マン7 邂逅(かいこう)編」(講談社)、「後家殺し」(小学館)など。

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 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、相談内容を詳しく書いて、〒100-8078か〒556-8660(いずれも住所不要) 産経新聞「人生相談 あすへのヒント」係まで。〈メール〉life@sankei.co.jp〈FAX〉03・5255・6634。紙上での匿名は可能です。採用分には1000円分の図書カードを差し上げます。

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