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高校生棋士・藤井七段の快進撃続く タイトル挑戦・獲得へ真の敵は新型コロナ? 

菅井竜也八段との対局に勝ち、感想戦に臨む藤井聡太七段=3月31日午後、大阪市福島区の関西将棋会館(沢野貴信撮影)
菅井竜也八段との対局に勝ち、感想戦に臨む藤井聡太七段=3月31日午後、大阪市福島区の関西将棋会館(沢野貴信撮影)
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 数々の最年少記録を更新してきた将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(17)が昨年度の将棋大賞記録部門で、「最多勝利賞」と「勝率1位賞」の2冠に輝いた。特に「勝率1位賞」は将棋界初の3年連続8割超えの快挙。抜群の強さを発揮する藤井七段の次なる記録更新はタイトル挑戦・獲得の最年少記録だ。最年少タイトル挑戦のラストチャンスとなる第91期ヒューリック杯棋聖(きせい)戦ではベスト4まで勝ち進んでいる。ただ、新型コロナウイルス対策で一部公式戦が5月7日以降に延期されており、記録更新に影響が出る可能性も出てきた。 (文化部 田中夕介)

 “中原・羽生超え”

 藤井七段の昨年度の通算成績は53勝12敗、勝率8割1分5厘。実質的なプロデビューとなった平成29年度以来、3年連続で勝率8割以上という史上初の快挙を達成した。

 過去に2年連続で8割超えを成し遂げたのは、羽生善治九段(49)=昭和62~63年度=と最高勝率(8割5分5厘)の記録を持つ中原誠十六世名人(72)=41~42年度=という将棋界のレジェンドの2人だけ。17歳の高校生棋士がデビュー3年で、“中原・羽生超え”を成し遂げた。

 藤井七段の強さの要因の一つが終盤の勝負強さ。それを培ったのが幼少期から続けている詰め将棋だ。王手の連続で相手玉を追い詰めていく詰め将棋は、やみくもに王手をかけていくだけではだめだ。攻め方は最も短い手順で玉を追い詰め、逆に玉方は最も長い手数で逃げなければいけない。数多くの詰め将棋を解いて得た鋭い終盤力は「詰将棋解答選手権チャンピオン戦」で新記録となる5連覇で実証済みだ。

 師匠の杉本昌隆八段(51)は以前、「藤井君は終盤力に加え、序盤・中盤にも隙がなくなり、かなりのスピードで成長している」と話したことがあった。藤井七段はAI(人工知能)も取り入れ、対局を重ねるごとに新たな技術や勝負勘を吸収する一方、自らの悪い部分は修正していった。

 あるベテラン棋士は藤井七段の精神面の強さも指摘する。「デビューしたての頃は劣勢になると、対局中でも感情を露にすることもあった。それが今では常に冷静で、17歳とは思えないほど精神的に強くなった」

 早指し棋戦の朝日杯将棋オープン戦2連覇、新人王戦優勝の3回の一般棋戦優勝の経験を持つ藤井七段。次に期待がかかるのはタイトルの最年少記録だ。

ラストチャンス

 これまでのタイトル戦の最年少挑戦記録は屋敷伸之九段(48)が平成元年12月、第55期棋聖戦に挑戦した17歳10カ月。最年少タイトル獲得は翌年8月の第56期棋聖戦で、やはり屋敷九段が18歳6カ月で成し遂げた。

 タイトル挑戦に最も近づいたのが昨年の第69期王将戦挑戦者決定リーグ。羽生九段ら順位戦A級在籍・タイトル経験者6人を相手に勝ち星を積み重ね、4勝1敗の同率首位で最終日を迎えた。勝てば17歳5カ月の史上最年少での挑戦が決まる最終戦は相星の広瀬章人八段(33)=当時竜王=と激突。優位に進めながら最終盤のまさかのミスで挑戦権を逸した。

 その最年少タイトル挑戦のラストチャンスとなるのが今期の棋聖戦。あと2勝で渡辺明棋聖(36)=棋王・王将=への挑戦権を獲得する。決勝トーナメント準決勝のカードは、藤井七段-佐藤天彦(あまひこ)九段(32)、永瀬拓矢二冠(27)=叡王(えいおう)・王座=-山崎隆之八段(39)。名人3期のタイトル経験を持つ前名人の佐藤九段は「藤井七段は勢いがあり、朝日杯(将棋オープン戦)2連覇の実績は動かない」と藤井七段の実力を認めた上で、「十分に対策を立てて臨みたい」と話していた。

延期の影響は?

 しかし、ここに来て藤井七段の最年少記録更新に暗雲が立ち込めてきた。新型コロナウイルスだ。日本将棋連盟は政府の緊急事態宣言を受け、100キロ以上の移動を伴う5月6日までの対局をすべて延期。愛知県瀬戸市在住の藤井七段も長距離移動の対象となる。

 棋聖戦決勝トーナメントは当初、今月中旬に準決勝、挑戦者決定戦は5月1日に組まれていた。渡辺棋聖との五番勝負は6月初旬開幕予定だった。

 屋敷九段が持つタイトル挑戦の最年少記録は17歳10カ月と24日。仮に対局が再開され、14年7月19日生まれの藤井七段がタイトル挑戦を決めた場合、6月11日までに五番勝負が開幕すれば最年少記録更新となる。

 最年少記録に挑む藤井七段の真の敵は新型コロナウイルスかもしれない。

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