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【一聞百見】棋士になったユーチューバー「アゲアゲさん」 将棋棋士 四段・折田翔吾さん

 「将棋とネット動画は相性がいい」という折田さん。まず、盤面以外に映すものが少なく、動画作りに手間がかからない。将棋ファンは、実況を見始めたら終局まで付き合ってくれることが多い。滞在時間が長いことも収入面では大事なことだ。気になるのはその収入面だ。生活できるのか。「1人暮らしなら、どうにかやっていける程度ですかね」とひょうひょうと語った。

■奨励会退会もユーチューブに活路

 「アゲアゲさん」こと折田さんが将棋を覚えたのは幼いころ。アマ三段の腕前を持つ父に将棋を教えてもらい、兄とよく指した。小学6年生のころ、インターネット将棋のおもしろさにはまる。「(21歳で最年少名人となった)谷川浩司九段のような棋士になりたい」と憧れた。小学6年生の冬、日本将棋連盟関西本部(大阪市福島区)の研修会に入った。さらに中学3年生でその上の棋士養成機関「奨励会」に入会。奨励会は6級から1級、その上に初段から三段まである。四段からがプロだ。1級までは順調に昇級したが、プロを目指すには中3での入会は決して早い方ではない。さらに奨励会は原則26歳で退会しなければならず、リミットがあった。

 そのため折田さんは、1級に上がった高校2年のある日、両親に「高校をやめて将棋に専念したい」と打ち明けた。反対されたが、約1カ月粘って説得し、退学した。「背水の陣」をしいて将棋に専念するはずだった。だが、有り余った時間はゲームセンター通いやアニメ視聴に費やしてしまった。「自分を律しきれなかった」。三段に昇段したころには21歳になっていた。四段になるには、最後の関門・三段リーグで好成績を挙げねばならない。30人前後が半年をかけて18局ずつ戦い、成績上位2人だけがプロになれる。

将棋雑誌を読みながら寝入ってしまった小学6年生の折田さん(本人提供)
将棋雑誌を読みながら寝入ってしまった小学6年生の折田さん(本人提供)
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 対局料など〝給料〟があるプロと、無給の三段の差は大きい。原則26歳までという厳しい掟(おきて)もある。そんな三段リーグは今後の人生を懸けて戦うため、プロ同士の対局とはまた違った緊張感がある。だが「東京の強い三段とも対局できるので、わくわくしました」と焦りはなかった。実際に戦ってみて「強く、研究の精度も高い」とも感じた。18局中、14勝前後が昇段ラインとされているが、1期目は8勝10敗。計10期、三段リーグに参加したが、成績は9勝9敗が最高で、勝ち越しは一度もなかった。「実家を出てひとり暮らしをするなど、環境を変えてみたが、棋力向上にはつながらなかった。自分の力の限界を感じた」と振り返る。

(次ページは)ファンの大きな支えでプロに…

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