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神出鬼没のバンクシー 故郷の英ブリストルを歩く 今も続く街との絆 一部に落書きも

「ウェル・ハング・ラバー」2006年 世論の後押しで保存され、観光名所になっている
「ウェル・ハング・ラバー」2006年 世論の後押しで保存され、観光名所になっている
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 ロンドンに拠点を移したバンクシーは2000年代以降、政治色を強め、世界的に注目される存在となったが、時折地元にふらりと戻ってきて作品を残している。地元のブリストル博物館・美術館で開いた大規模展「バンクシーvsブリストル・ミュージアム」(2009年)は連日長蛇の列ができ、ダークユーモアに社会批判を込めた期間限定テーマパーク「ディズマランド」(2015年)もブリストルから比較的近いリゾート地、ウェストン=スーパー=メアに作られ、話題沸騰となった。「想像ですけど、地域活性とか地元を応援しようという意識も多少、(バンクシーに)あるのかな」とマクギネスさん。

 今年2月13日、ある民家の壁に出現した新作は、バレンタインデーの贈り物だろうか。Y字型のパチンコを手にした少女と、砕け散る赤い花々。2日後には誰かに落書きされ、さらに数日後に現地に行くと残念、保存と将来的な公開を見越して家主がカバーしたらしく、一部しか見えなくなっていた。

 バンクシーの活動の軌跡をたどる「バンクシー展 天才か反逆者か」がいま、横浜市西区の複合施設、アソビルで開かれている(30日は休館)。8月には東京・東品川の寺田倉庫で「BANKSY展(仮称)」も始まる予定で、国内でも彼の作品を目にする機会が増えそうだ。ちなみに、いずれも本人非公認の展覧会という。

 意外かもしれないが、バンクシーは路上に絵を残すだけでなく、絵画や版画、立体作品などをスタジオで制作している。横浜のバンクシー展はこうした作品70点以上をコレクターらの協力を得て展示。2年前から世界5都市を巡回、計100万人以上を動員したという。

 同展プロデューサーのアレクサンダー・ナチケビア氏は、作家本人と面識はないと明かした上で、意図を語る。「アートには魂やエネルギーが宿る。でも日本でバンクシーの作品をじかに見る機会は少ない。(無許可の展示に対し)バンクシーは“俺の作品で金もうけしようとする資本主義のゴミだ”と抗議するが、一方でコレクションを大勢の人に見てほしいと願う収集家もいる。僕らは、バンクシーのアートを広める一助となっているはずだ」

 消費社会、政治、警察と監視、パレスチナ問題、戦争…バンクシー作品に頻出するテーマやモチーフ別に展示は進む。痛烈な皮肉が持ち味だが、火炎瓶の代わりに花束を投げる男「ラブ・イズ・イン・ジ・エア」、落札直後に裁断された“事件”でも知られる「風船と少女」のように、愛やユーモアに満ちた表現も魅力だ。地元の友人のために手掛けたレコードジャケットや手書きの指示書など、音楽シーンとの関わりを示す資料が興味深い。

 パレスチナとイスラエルの分離壁そばにある“世界一眺めの悪いホテル”は、客室を再現する形で紹介。全体として、バンクシーの幅広い活動を俯瞰(ふかん)できる展覧だ。ナチケビア氏は言う。「バンクシーの作品を見て無関心でいられる人はいない。見る者に考えさせ、対話や行動を触発する力がある。そして好き嫌いがはっきり分かれる。だから他の作家とは違う」

 9月27日までの予定。日時指定予約制で、開館状況など詳細は公式HP(banksyexhibition.jp)で確認を。

初期の代表作「マイルド・マイルド・ウエスト」1999年
初期の代表作「マイルド・マイルド・ウエスト」1999年
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