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小劇場に宿る演劇愛 ウイングフィールドの福本年雄さんがバックステージ賞 

 劇団そのものの数が減り続ける中、半年間も公演が入らない苦しいときを過ごした。経営が行き詰まった20年、閉館を決断。福本さんはウイングフィールドに集まった演劇関係者の前に立った。

 「ウイングフィールドを使ったことがない人も含め、120人くらい来てくれました。その前で、閉館を宣言するはずだったんです」

閉館一転「続けます」

 集まった関係者から「やめるな!」と声が上がる。客席側では、福本さんの思いに耳を傾けるどころか、資金の調達先といった劇場の存続を前提にした具体的な話が深まっていき、それならばと運営に協力を申し出る劇団関係者も現れた。引けなくなってしまった福本さんの口から出たのは「続けます」。閉館ではなく、再出発宣言になってしまった。

 関係者からの支持の背景には、劇団に寄り添い続けた福本さんの姿勢が大きい。場所を提供するだけではなく、ひとつひとつの芝居を見て評価を伝えてきた。厳しいことは言わない。今後の励みになるような言葉を選ぶ。それは「芝居に限らず、創作の世界は身を削るようなエネルギーが必要。彼らは命がけ」という信念があるからだ。

仲間の推薦で裏方賞

 ほかの小劇場と連携した「演劇祭」を開くなど、劇団の育成にも力を入れている。舞台芸術の「裏方さん」を表彰する「ニッセイ・バックステージ賞」に推薦してくれたのは、関西で苦楽をともにする劇場の関係者だったという。

 「関西で演劇で食べていくのは難しいでしょうね」と冷静な視点も忘れていない。劇場の経営は今も苦しいし、悩みもある。それでも「『負けるものか』という思いがありますね」と芝居への愛情は冷めやらない。数多くの劇団がウイングフィールドから、関西から羽ばたくことを願いながら「若い劇団や中堅の劇団が行き詰まったとき、原点に戻れる場所でありたい」とも語る。そのまなざしは芝居や劇団に対する情熱とぬくもりが同居する。

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