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【山本一力の人生相談】母と新興宗教の支配から逃れたい

相談

 20代の大学生。母と、母が信仰する新興宗教との付き合い方で悩んでいます。

 生まれてすぐ入信させられて、受験や就職、結婚など何でも宗教を通さないと決定できない現状に嫌気がさしています。

 宗教は公序良俗に反するものではなく、育ててくれた恩もあります。「理解してくれるのはあなただけ」と母に言われてはっきり嫌だと言えず、親孝行だと思って付き合ってきました。

 しかし大学受験やひとり暮らしの物件、果ては所属ゼミまで決められて、このままだと結婚相手も決められてしまいそう。就職を機に縁を切ろうか悩んでいます。母と宗教から上手に距離を取るにはどうすればいいでしょうか。

回答

 あなたと同じ年の頃には、高卒のわたしはすでに社会人だった。

 入社3年目の初夏、営業先に向かう道々、先輩に釘を刺された。

 「客先では政治・宗教・スポーツの話は絶対にしてはいけない」と。

 三つはすべて、個人の考え方が濃い影を落としている。話し始めでは同好の士に思えても、深い部分では異なる。

 考え方の違いが明瞭になったら、相手との間に深い亀裂を生じかねない。ゆえに三つは話題にするなと、きつく戒められた。

 あなたが抱え持つ深刻な悩みに、一般論の助言など役には立たぬ。

 が、3倍長い時間を生きているわたしだ。信心と、いかに向き合って生きているか、その体験論なら話せる。

 42歳の6月、わたしは富岡八幡宮のすぐ近くに転居した。当時は小説新人賞に応募を重ねており、お参りのたびに新人賞合格を、ひたすら祈っていた。

 ある朝、町の長老から窘(たしな)められた。

 「神様にはお願いではなく、今日も生きていられることを感謝することだ」と。

 長老から諭されて、わたしは人生という道を歩むときの杖(つえ)を授かった。

 相談文章から察するに、あなたもさまざまな局面で、信仰する神に願い事をしてこられたのではなかろうか。

 ひとはひとりで生きるのはむずかしい。

さりとて生き方をあれこれと、強制され続けて歩むのは、さらにきつかろう。

 が、果たしてあなたは母と宗教とに、支配されるのみという状況なのか。

 迷いが生じたとき、あなたを支える杖とはならなかったのか。それをぜひ一度、思い返していただきたい。

 求めることには、不満がつきまとう。

 感謝なら限りなく捧(ささ)げられると思うが。

回答者

山本一力 作家。昭和23年生まれ。平成9年「蒼龍」でオール読物新人賞を受賞しデビュー。14年「あかね空」で直木賞受賞。近著に「牛天神 損料屋喜八郎始末控え」(文芸春秋)、「長兵衛天眼帳」(角川書店)、「ジョン・マン7 邂逅(かいこう)編」(講談社)、「後家殺し」(小学館)など。

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