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【日本語メモ】「アイス」になった金色夜叉・間貫一

 暖冬のために、各地の梅の名所で見頃が早く来たようですが、梅と言えば熱海の梅園、熱海と言えば「貫一お宮」の別離の名場面が思い浮かび、尾崎紅葉の名作「金色夜叉(こんじきやしゃ)」を再読しました。

 両親に死なれた間貫一(はざま・かんいち)は引き取られた鴫沢(しぎさわ)家の一人娘、宮の婚約者となります。しかし玉の輿に憧れていた宮は資産家からの求婚を受け入れてしまいます。宮の父親に宮を諦めるよう説得された貫一は、熱海にいる宮を追いかけ、海岸を歩きながら翻意するよう哀願するも、宮は泣くばかり。激怒した貫一は宮を蹴り倒し、「この恨みの為に生きながら悪魔になって」「来年の今月今夜になったならば、僕の涙で必ず月は雲らして見せる」と言い残し、行方不明になります。

 4年後、貫一は冷酷無比な「アイス」となって再登場します。さて「アイス」とはなんでしょう?

 アイス→アイスクリーム→氷菓子→高利貸し

 まるで連想ゲームですね。高利で貸す金貸しは江戸時代から「高利貸し」と言われていましたが、明治時代に学生が「しゃれ」で作った俗語の「アイス」が広まったのです。

 ちなみに紅葉は、貫一に想いを寄せる「美人高利貸し」を「美人(びじ)クリイム」と表記しています。

 この「アイス」は大正時代までは使われていたようですが、昭和時代には自然消滅しました。昭和50年代に「サラ金地獄」が流行語となり、平成以降は「ヤミ金」が社会問題化して、現在に至ります。

 いつの時代も、高利によって暴利をむさぼってきた金の夜叉(鬼)たち。

 忘れ去られた「アイス」のように、「ヤミ金」が名実ともに「死語」となる日が一日も早く到来するとよいですね。(は)

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