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【深層リポート】長野発 AIが政策立案 共生探る行政 譲れぬ人間の判断

未来像は2万通り

 AIが描き出した未来像は約2万通り。これを23通りに集約、分類し、この中から、県職員らの検討を経て最終的に6通りに絞り込んだ。最もよいシナリオは、観光が活発で生産・分配といった経済循環がよく、郷土愛も育まれていた。

 最もよいシナリオも令和10~11年ごろまでは、他のシナリオそれほど変わらなかった。この時期以降、持続可能な社会に向かった要因は、地方税の歳入割合や出生数、観光客数、公共交通機関の維持・確保などの政策効果が高いことだった。つまりこの時期までに行政が講じるべき政策の方向性を示唆したわけだ。

 ただ阿部知事は「直ちに政策には生かせない」と指摘し、因果関係の精度を高めていく必要性を強調している。県は引き続き、今回のテーマで、より実効性のある政策立案のあり方を探る方針だ。

説明責任は

 行政が講じる政策展開をめぐり、現在、EBPMが重視されている。勘や経験などによる立案を排し、データに基づく因果関係を重視する考え方で、AIの果たす役割が期待されている。ただ、公平性や客観性が担保できる一方、すべてをAIに任せると、講じた政策の説明責任を果たせない可能性がある。

 今回の試みでは、データ抽出や因果関係などの最初の取り組みと、AIが導き出した複数のシナリオから採用すべき将来像を最終判断したのは県職員らであり、その中間作業のシミュレーションだけをAIに委ねた。阿部知事が「政策提言するのはあくまでも人間」と強調するのも、行政に求められる説明責任を自覚しているためだ。

 行政が政策立案でAIを利用する試みはまだ緒に就いたばかり。試行錯誤の果てに、新たな行政のあり方に結びつくことが期待される。

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