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【日本語メモ】ゆるい「真逆の決闘」

 新聞社の校閲部というところはとても保守的で、新しい言葉、新しい表現をなかなか認めません。

 そんな「新しいもの嫌い」の校閲において、近年、認めざるを得ない言葉があります。

 それは「真逆」です。「まさか」ではなく「まぎゃく」です。

 「真逆」が世に知られるようになったのは2004年、流行語大賞の候補になったときでしょう。

 ちなみにその年の大賞は「チョー気持ちいい」でした。

 すぐに消えてなくなる新語が多い中、「真逆」は主に若者の間で使われ続け、10年ごろには俗用扱いながらもいくつかの辞書に載り始めます。そして新聞記事にも散見されるようになりました。

 この頃から「真逆」に否定的な声が上がり始めます。

 本紙でも見出しに「真逆」を使ったところ、「こんな変な日本語は使うな」と読者からお叱りを受けました。

 このときは「見出しに『真逆』を使うべからず」という通達が編集局内でありました。しかし、世間の批判もどこ吹く風と「真逆」の勢いは止まりません。

 そして2018年、「真逆」は『広辞苑』デビューを果たします。しかも俗用ではなく、「正式メンバー」として採用されたのです。

 十数年にわたって使われている「真逆」を「定着した言葉」とした『広辞苑』の判断は納得できます。

 もちろん『広辞苑』に載ったから新聞でも使うというわけではありませんが、少なからぬ影響はあるでしょう。

 現在、校閲部において「真逆」に対する扱いは以前より「寛容」になりつつあります。

「真逆」は社内の記事などでは「正反対の」というように書き換えをしてきました。しかし、識者の談話や外部からの寄稿文などでも散見されるようになり、修正しにくくなってきているのも事実です。

 明確なルールは存在せず、出稿者や外部筆者の「真逆」容認派と校閲部内の「真逆」取り締まり派の主義・主張が地味にせめぎ合う緩い闘いです。

 それは「真昼の決闘」ならぬ「真逆の決闘」といえるかもしれません。(げ)

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