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【中東見聞録】イランと暴力団さながらの駆け引き 米「不名誉な撤退」が現実味

 と同時に、イラン国内向けには当初、米兵ら「80人を殺害し、軍用ヘリを破壊した」などと報道された。流血には流血で均衡をとった、とのアピールとみることができる。

 ミサイル攻撃を受けた後、トランプ氏は「イランが引き下がった」として、さらなる攻撃は自制する考えを表明した。ただし、両国の緊張がこれで消えるわけではもちろんない。

撤収なら「力の空白」

 今後の焦点は、米国が自らの中東での退潮を食い止めることができるかにある。

 トランプ氏は就任前から、中東の紛争地からの米兵を帰還させることを公約としており、現在もその方針は不変だ。イラク駐留米軍の撤収に向けた枠組み作りを進めるとも表明している。

 しかし、現在イラクに駐留する米軍約6000人が撤収すれば、「力の空白」を埋めるためにイランやその代理勢力が影響力を増し、それを嫌うサウジアラビアなどのスンニ派諸国やイスラエルとの緊張が高まることは避けられない。イランの核武装を警戒するサウジが、対抗するために核武装を目指すといったシナリオが現実味を帯びる可能性さえある。

 米国は2003年のイラク戦争で当時のフセイン政権を打倒。これが、同政権下で低い地位に置かれていたシーア派が戦後政治の主導権を握り、イランがイラクへの浸透を強める契機となった。シーア派への不満を強めたフセイン政権の残党がイスラム過激派と融合し、「イスラム国」(IS)の台頭にもつながった。

 こうした混乱の中でも米国は、駐留米軍の軍事力を背景に、イラクに一定の影響力を保持してきた。

 ところが今回の司令官殺害をめぐっては、イラク国会が、主に米軍を念頭に、外国軍隊の撤収を求める決議を採択。イラクで米国の存在感が低下していることを印象付けた。そのうえトランプ政権がやみくもに撤収を急げば、米国は、イラク戦争から約17年に及ぶ戦闘・駐留の末に、イラクひいては中東での影響力を大きく低下させるという「不名誉な撤退」を味わうことにもなりかねない。

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