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【痛みを知る】脊髄損傷→感覚麻痺→神経の誤作動→不可思議な痛み 森本昌宏

 脊柱(背骨)のなかを走っている脊髄(脳から伸びている神経の束)が障害される「脊髄損傷」は、さまざまな事故などによって引き起こされる。たとえば、交通事故やスポーツ、墜落によって脊柱が潰れる、などである。その他にも腫瘍や梗塞、出血などによって脊髄が直接的に障害される、といったことも原因となる。

年間4000人発症 若者に多い

 脊髄は、脳からの命令を体の各部に伝えたり、逆に各部からの情報を脳に伝えたりする機能を担っている。したがって、損傷されるとその部位以下の神経機能(運動や感覚)が麻痺(まひ)し、自力での排尿や排便が困難となり、呼吸機能の低下などを生じる。頸部(けいぶ)での損傷が多いが、損傷された部位が脳に近い程、麻痺を生じる範囲は広くなってしまう。

 わが国では、年間4千人程度の発生がみられているが、これらの多くが15~35歳の若者であることは、深刻な問題である。健康な若者が、ある日突然、手足が動かなくなり、触れられてもまったく分からなくなるのだから、そのショックは計りしれない。

 脊髄損傷に伴う症状は、直後に起こる場合と、脊髄周辺の出血や浮腫(むくみ)によって徐々に進行する場合とがあることから、交通事故による「頸椎(けいつい)捻挫」(いわゆるむちうち症)であっても、早期に適切な診断と治療を受けるべきことは言うをまたない。

再構築の過程で起こる神経の過剰活動

 治療は、早期には副腎皮質ホルモン薬の投与、脊髄を圧迫している骨片や異物、血液を除去して背骨を固定する手術などが行われている。その他では、リリカや抗(こう)うつ薬の仲間であるサインバルタが用いられている。1週間以内に運動や感覚に改善傾向がみられる場合には、他の身体機能の回復も期待できる。一方で6カ月経(た)ってもこれらの機能が元に戻らない場合には、恒久的な麻痺となることが多い。これに対しては、現在、再生治療として、さまざまな細胞を培養して体内へ注入する治療法が考案されている。

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