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【痛みを知る】灼けるよう…カウザルギーと呼ばれた痛み 森本昌宏

 アメリカの南北戦争当時に、フィラデルフィア陸軍病院に勤務していたミッチェル医師は、奇妙な痛みの存在に気付いた。銃弾によって末梢(まっしょう)神経に損傷を受けた兵士たちが、傷が治った後にも激しい痛みを訴え続けたのである。

きつめの靴を履いたことも原因に

 1863年、この痛みを「カウザルギー」(causalgia)と呼び、「灼(や)けるような痛み」であるとした。その後、末梢神経に損傷がなくても同様の痛みが発生することが判明し、1946年、エバンスはこれを「反射性交感神経性ジストロフィー」(reflex sympathetic dystrophy、RSD)と命名した。

 その後、病態が解明されるにつれて、このカウザルギーとRSDとの名称は不明瞭なものとなり、混迷が続いた。このような状況を受けて、1994年には『国際疼痛(とうつう)学会』が、従来のRSDは「複合性局所疼痛症候群」(complex regional pain syndrome typeI、CRPSI)、カウザルギー(太い末梢神経の損傷の既往が明らかな場合)はCRPSIIとの呼称を用いるように、と提唱した。

 原因は、骨折、捻挫、打撲などの外傷、関節鏡や手術、抜歯などの医療行為を原因によるもの、脳血管障害、「心筋梗塞」や「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」と多岐にわたる。軽い外傷後にも発症することがあり、「腕をぶつけた」「きついめの靴を履いていた」ことだって原因となるのだ。川柳に、「三度刺し血管細いねとナース」(善家正子)とあるが、肘静脈からの注射や採血時に、針が深く刺さり過ぎてその奥にある神経を傷つけると、この状態を引き起こしてしまうこともあり注意が必要だ。なお、米国では150万~600万人の方がこの痛みに苦しんでいるとのデータがあることからは、稀(まれ)な病気とはいえない。

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