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【痛みを知る】ニーチェも悩んだ群発頭痛 森本昌宏

 哲学者、ニーチェは激しい頭痛発作に苦しみ、ついには発狂した。12歳時に激烈な目の痛みを自覚し、目の結膜の充血、瞳孔の左右不同などを伴っていたとする点からは、典型的な「群発頭痛」であったと考えられている。なお、この群発頭痛( Cluster headache )のclusterとは、“葡萄(ぶどう)の房”を意味している。

目に焼け火箸を突っ込まれたような痛み

 現在、国際頭痛分類では、群発頭痛は「三叉(さんさ)神経・自律神経性頭痛」とのカテゴリーで捉えられており、その発症には三叉神経と自律神経の関与が考えられている。つまり、「片頭痛」と同じく脳の血管(内頚(けい)動脈などの太い血管)が拡張した結果、その血管周囲に炎症が起こり、三叉神経が興奮する(→これにより激しい痛みを起こす)、さらには自律神経のうちの副交感神経が緊張する(→これにより同側の結膜が充血し、瞳孔が縮んで、流涙、鼻汁分泌などを引き起こす)のだ。加えて、同じ時間帯に発作が起こることからは、視床下部(体内時計が存在する)の機能不全も推察されている。

 圧倒的に男性(女性の約3~7倍)に多く、20~40歳代で発症する。群発地震のような発作が、一定期間(年に1~数回、数週~数カ月間続くが、この期間は年齢を経るに連れて長くなる)に集中して起こり、他の期間はまったく無症状である。同じ時間帯、特に夜間ないしは早朝に多い。痛みが持続するのは15分~3時間程度で、片頭痛のように一日中続くことはない。なお、飲酒、血管を拡張させる薬(高血圧症の薬など)の服用によっても誘発される。痛みはすべての頭痛のなかで最も激しく、片側の「目の球を抉(えぐ)られるような」「目に焼け火箸を突っ込まれたような」などと表現される。

強い痛み体験で他人の痛みも知る?

 発作の予防には、カルシウム拮抗(きっこう)薬(高血圧や狭心症の治療薬)のひとつであるベラパミル(ワソラン)や副腎皮質ステロイド薬などの内服が有効である。そして、「上顎の歯肉が重い」「目がかすむ」といった前駆症状を自覚したら、まずスマトリプタンの皮下注射であり、酸素の吸入である。これらによって血管が収縮し、発作が治まるのだ。酸素吸入のためには、医療用の酸素吸入装置を業者から借りることが可能である。発作期間中には、何よりも禁酒を励行することは言うまでもない。

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