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【エンタメよもやま話】究極のクリーンエネルギー「人工太陽」で世界をリードする中国の“高笑い”

2019年の9月23日に国連の「気候行動サミット」で話すグレタ・トゥンベリさん=米ニューヨーク(ゲッティ=共同)
2019年の9月23日に国連の「気候行動サミット」で話すグレタ・トゥンベリさん=米ニューヨーク(ゲッティ=共同)

 さて、今週ご紹介するエンターテインメントは、新たなエネルギー開発に関するお話です。

 地球温暖化防止のための新たな国際的取り組み「パリ協定」が本格始動しますが、ドナルド・トランプ米大統領は昨年11月4日、国連に「米労働者に不利益になる」としてパリ協定からの離脱を正式に通告するなど、各国の足並みは早速、乱れています。

 そんななか、昨年12月にスペインで開かれた「国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)」では、米国という主要締結国の離脱によって協定自体が骨抜きになるとの指摘も出るなど、足並みの乱れも指摘されました。

 とはいえ、クリーンエネルギーを積極活用しようとの声は日々、世界規模で高まっています。

 クリーンエネルギーといえば、太陽光発電や風力発電を連想するのですが、実は最近、もっとすごいクリーンエネルギーを作り出す技術が注目を集めているのです…。

◇   ◇

 昨年11月27日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP、電子版)や12月2日付の米金融経済系ニュースサイト、インターナショナル・ビジネス・タイムズなどが報じているのですが、中国が昨年11月26日、核融合反応によってクリーンエネルギーを作り出す「人工太陽」の実用化にメドを付け、2020年から運用を開始する予定であると発表したのです。

 「人工太陽」とは何なのか? 簡単に説明しますと、太陽の内部で起きている核融合反応を地上で再現する施設(原子炉)のことです。太陽が輝いているのは内部で核融合反応が起きているからで、そうした経緯から「人工太陽」と呼ばれているのです。

 では、どうやって「人工太陽」を作り出すのかと言いますと、ウランやプルトニウムによる核分裂反応でエネルギーを発生させる「原子力発電」と違い、水素やヘリウムによる核融合反応でエネルギーを発生させる「核融合発電」の技術を使うのです。

 水素やヘリウムは、地球上に普遍的に存在しているため、資源が枯渇する心配がありません。また、原子力発電と同じように、発電の過程で地球温暖化の主要因とされるCO2(二酸化炭素)が発生しません。さらに高レベルの放射性廃棄物が発生することもありません。

 そんなわけで、地球温暖化の防止に貢献するうえ、ほぼ無限に利用できるクリーンエネルギーとして世界的に注目されているのですが、今回、中国が欧米に先駆け、その「人工太陽」の実用化に大きな一歩を踏み出したというのです…。

 11月26日に中国国営新華社通信が報じたところによると、この「人工太陽」、中国では「HL-2M」と名付けられ、中国南西部、四川省の楽山(らくさん)市で先ごろ、原子炉の建設工事が終わったといいます。

 事業主体は、中国最古の核融合技術に関する研究開発拠点「核工業西南物理研究院(Southwestern Institute of Physics=SWIP)」と、中国で原子力発電所を建設する仕事に携わる国有会社「中国核工業集団公司(China National Nuclear Corporation)」の2つです。

 地球上で「核融合反応」を起こすためには、非常に強い重力を有する太陽の中心部のように、超高温かつ超高圧の状態を人工的に作る必要があります。そのうえで、電子と原子核が分離した「プラズマ状態」での原子核の温度を摂氏1億2000万度にまで上昇させねばなりません。

 この状態を作り出すため、関係者は研究に尽力。その結果、「プラズマ状態」の原子核の温度を太陽の中心部の約13倍となる摂氏2億度にまで上昇させることに成功したというのです。ここまで上昇させれば「核融合反応」が起き、そのパワーによる大量の電力供給にメドが立ちます。

◇   ◇

 中国では昨年11月、東部の安徽(あんき)省合肥(ごうひ)市にある核融合の実験装置「EAST」ですでに「プラズマ状態」での原子核の温度を摂氏1億度にまで上昇させることに成功しており、この分野で着実に成果を出していますが、他国も指をくわえて見ているわけではありません。

 2017年12月9日付の米金融経済系ニュースサイト、ビジネスインサイダーなどによると、フランスを舞台に国際協力で進む国際熱核融合実験炉(ITER=イーター)での実証実験には、中国のほか、米や欧州連合(EU)、インド、日本、ロシア、韓国など計35カ国が参加しています。実験炉の建設などには総額約200億ドルかかるといい、2035年から完全稼働する予定です。

 しかし、実用化にメドがつくような核融合炉を完成させるには、まだまだ難題が山積です。実際「イーター」計画も、スタートした10年前は2023年に完全稼働する予定でしたが、さまざまな問題が生じ、結局2035年と大幅に遅れることに。計画全体の予算も当初予定の約4倍に膨れあがっています。

 そんなわけで、2017年12月9日付のビジネスインサイダーは「ひとつ確かなことは、太陽の力を利用するのは簡単なことではありません」と結んでいますが「人工太陽」の実用化に向けた動きは世界規模で日を追うごとに活発化しています。

 北京にある清華大学のガオ・ヂョー教授(物理学)は6月6日付のSCMP電子版に「核融合の分野では世界中の科学者が克服すべき多くの難題を抱えているが、その難題の解決に向けて挑戦せねばならない」と訴え、各国が「人工太陽」の早期実用化に尽力すべきだとの考えを示しました。

 また、英マンチェスター大学ダルトン原子力研究所で原子力技術を研究するファン・マシューズ客員教授は11月27日付の英紙デーリー・テレグラフ(電子版)に「核融合は人々を結びつけるエネルギーの1つである」と述べ、研究の活発化の必要性を示唆(しさ)。

 英国原子力公社のCEOであるイアン・チャップマン最高経営責任者(CEO)もデーリー・テレグラフ紙(電子版)に「誰もが核融合の大きな可能性を認識している」と前置きした上で「市場競争力を有する方法でそれを実現できれば、将来の気候変動抑止への影響は大きいかもしれない。なので、誰もが熱心であることは驚くに値しない」と明言し、「人工太陽」が将来の地球温暖化の防止に役立つ可能性があるとの考えを示しました。

 米国という主要締結国が離脱したまま開催された「国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)」。離脱はしたものの、会議には国務省の幹部らを派遣することで影響力の維持をたくらむ米国に対し、中国が存在感を発揮しようと躍起になっていましたが、世界が実用化に向け、しのぎを削る「人工太陽」の分野では、国際協力で進む国際熱核融合実験炉「イーター」にも参加しつつ、自国の原子炉での実証実験では世界を一歩リードした中国の高笑いが聞こえてくるようです。(岡田敏一)

【岡田敏一のロック講座】クイーンの名曲ベスト10 深堀り解説

映画「ボヘミアン・ラプソディ」の爆発ヒットで新たなファンを獲得した英のバンド、クイーン。平成29年12月と今年3月にクイーンをテーマに講座を開催しましたが、来年1月の来日公演に合わせ、3回目の講座を開催します。

 今回は代表的な10曲を順位付けし、多角的に解説します。講師は音楽誌「レコード・コレクターズ」の常連執筆者で産経新聞大阪文化部の岡田敏一編集委員。

 同誌では来年1月15日発売の2月号で、評論家ら25人が選んだクイーン名曲100曲を発表。岡田編集委員も選出作業に参加しました。講座ではレココレのランキングをもとに独自のベスト10を選び、名曲を深堀りします。50人募集。応募は1月7日必着。

 ■時と場所 2月1日(土)午後2時~3時半、産経新聞大阪本社(大阪市浪速区)

 ■参加費 1500円 問い合わせ・応募はウェーブ産経事務局(06・6633・9087)。

【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

 ■毎週、日本を含む世界のエンターテインメントの面白情報などをご紹介します。ご意見、ご要望、応援、苦情は toshikazu.okada@sankei.co.jp までどうぞ。

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