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【韓国メディアの苦悩(2)】<テレビ編>迷走する公営放送 権力と世論のはざまで

 14年、旅客船セウォル号が沈没し、修学旅行中の高校生ら約300人が死亡した事故では、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権や海洋警察の初動の遅れに批判が集まった。各メディアが連日大々的に報道する中、KBSは大統領府の意向を受け、一部報道を取りやめていた事実が発覚。「グッバイKBS。2度と見るのはやめよう」。そう書かれたTシャツ姿の市民らが社屋を取り囲んだ。

 その後、当時のKBS報道局長と大統領府の広報責任者が交わしていた通話内容が明らかになり、両者の密接な関係はいっそう浮き彫りになった。

 大統領府「他のおかしな放送と一緒になって、公営放送(KBS)まで(政府を)踏みにじって」

 KBS「正直、私たちくらい(政府を)助けている所はないでしょう?」

 大統領府「こういう大事な時は、もっと劇的に助けてくれ。劇的に」

 通話内容を公表したのが、KBSの内紛で責任を問われた報道局長自身だったことが、事態をさらに悪化させた。

 チョ・グク氏をめぐる報道で文在寅政権にすり寄れば、この時と同様の批判が再燃しかねない。“反省”を踏まえた報道が、本来は味方であるはずの政権支持層の不興を買い、ユーチューブに「屈服」する事態に至った。

■保守層は「受信料」攻撃

 もっとも、文政権に批判的な保守層のKBSに対する反発はさらに激しい。「NHKから国民を守る党」への支持が広がる日本社会と同様、公営放送に対する攻撃では受信料が標的となる。

 KBSの受信料は40年近く、月額2500ウォン(約250円)で据え置かれている。広告収入を得ることも認められているためNHKに比べ低額ではあるが、電気料金の支払いに組み入れる方式で徴収率は99・9%を誇り、収益全体の46%を占める重要な収入源だ。

 「受信料の支払いを拒否し、強制徴収の禁止を通じてKBSの偏向報道を正していく」。最大野党の自由韓国党は19年初頭から、「反受信料」運動を開始。10月には電気料金との分離徴収を求める国民からの請願が大統領府のホームページに投稿され、約1カ月で20万人以上の支持を集めた。

 「政権との距離」をめぐって左右から攻撃を浴び、危機に陥る公営放送。「コンテンツの質でKBSの存在価値を証明し、社会的責任を誠実に果たしてほしい」。請願に対する大統領府のひとごとのような回答が、空疎に響いた。

<(3)は1月3日にアップ予定です>

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