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旭堂小南陵らの「DIY定席」オープン1年 ゲスト続々

此花千鳥亭の内部。天井も壁も床も、すべて講談師らがDIYで作った=大阪市此花区(此花千鳥亭提供)
此花千鳥亭の内部。天井も壁も床も、すべて講談師らがDIYで作った=大阪市此花区(此花千鳥亭提供)
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 約80年ぶりに大阪で復活した、日本で唯一という講談の定席「此花(このはな)千鳥亭」(大阪市此花区)が、来月で開場1年を迎える。DIY(Do It Yourself、日曜大工)で文字通り劇場をつくった旭堂小南陵は「上方芸能の発信拠点の一つとして、少しずつ認知度が高まってきた」と感慨深げに話す。今月下旬からは旭堂南龍との「続き読みの会」など、1周年記念のイベントがめじろ押し。じわりと高まる講談人気の加速を図る。(藤井沙織)

 上方の講談師にとって、定席の復活は悲願だった。講談は明治期に大阪で高い人気を誇り、街の各所に「講釈場」と呼ばれる定席があった。ところが次第に浪曲に人気を奪われ、定席は昭和初期には大阪から姿を消したという。

 小南陵は平成13年、現在の四代目旭堂南陵に入門した。他の講談師と同様に落語会などで活動する中、痛感することがあった。「出演日程がピンポイントで、せっかく講談の存在を知ってもらえても、聞いていただく機会が少ない」。23年には、国内唯一の定席だった東京の「本牧(ほんもく)亭」も閉場。小南陵は28年の五代目小南陵襲名を機に、定席の開設を決意した。

 此花千鳥亭は商店街の空き店舗を改装したもので、約50人を収容できる小さな劇場だ。当初は工務店に施工を依頼していたが、昨年夏は大阪北部地震や台風などの災害が相次ぎ、復旧作業のために工事が延期されることに。だが既に開業予定に合わせて番組を組んでいたため、講談仲間らとともにDIYでつくることにした。

 専門家のアドバイスを受けながら、壁や天井を剥がし、断熱材を入れ、遮音シートを貼り、木材や石膏ボードをとりつけていく。オープンは1月3日。「最初は設備も不十分で、楽屋はほぼ吹きさらし。こたつを置いてしのいでいました」と笑う。作業の様子は、動画サイト「YouTube」に投稿している「訳あり講談ひるず」の中で公開されている。

 上方芸能の発信拠点をつくるという小南陵の考えに賛同し、講談師だけでなく落語家も積極的に出演した。笑福亭鶴瓶が高座に上がったこともある。次第に講談や落語のファンだけでなく、地域の住民がふらりと立ち寄るようになった。「『いつも満席だから行ってみたい』と思われる場所になれば」と話すが、実現が容易ではないことも認識する。「上方芸能は、ジャンルを超えてみんなで手を携えないといけないんじゃないかな」

 1周年を記念して行う「続き読み」は、講談の醍醐味だ。落語会での口演は一話で完結させるため、「一席物」という短い話や、長い話を抜粋した「抜き読み」を披露する。だが定席のあった時代は、長い演目を毎日読む「続き読み」が主流だった。小南陵は希代の毒婦を描いた「妲妃(だっき)のお百」、南龍は「一休禅師」を、21日から7日間にわたり口演。ゲストに桂吉弥、桂春蝶ら人気落語家の出演もとりつけた。

 「今、『講談ってなんだろうブーム』が来ている」と語る小南陵。背景にあるのは、テレビの情報番組などでも活躍する東京の講談師、神田松之丞の存在だ。自身が講師を務めるカルチャーセンターには、松之丞を知って講談を習いに来る人も少なくないという。講談の魅力を伝える好機の到来に、闘志を燃やす。

 「10年後、千鳥亭がもっと盛り上がっているように、いろいろなイベントを仕掛けていきたい」

 続き読みの会「連続講談千鳥亭」21日~27日。旭堂小南陵「妲妃のお百」、旭堂南龍「一休禅師」。日替わりゲストは桂三若(さんじゃく)、林家菊丸、桂米紫(べいし)、桂かい枝、桂文鹿(ぶんろく)、桂吉弥、桂春蝶。21日午後6時、22日同2時、23日~同7時。前売2千円、当日2500円。通し券1万円。

 年越しの会31日午後8時。小南陵、南龍、桂佐ん吉ら。笑福亭べ瓶、桂雀太らが出演する東京の寄席と中継。前売2千円、当日2300円。

 大講談まつり来年1月1日~15日。趣向の異なる講談会を毎日開催。

 此花千鳥亭(https://asobig.jimdo.com/ 06・7708・0754)。

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