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自分を信じ制作し続ける 仏在住の美術家・松谷武判さん パリ・ポンピドー個展に12万人

ポンピドー・センターで開催された松谷武判さんの作品(撮影・藤原次郎)
ポンピドー・センターで開催された松谷武判さんの作品(撮影・藤原次郎)
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 前衛美術グループ「具体美術協会」(1972年解散)のメンバーで仏在住の美術家、松谷武判さん(82)がパリのポンピドー・センターの個展を終え、一時帰国した。約3カ月の会期中の入場者は約12万人を記録し、高く評価された。具体時代の60年代からキャンバスにボンド(ビニール系接着剤)をたらし、その表面を鉛筆で塗り重ねる有機的な作品を制作し続ける松谷さん。その近況を聞いた。(聞き手 丸橋茂幸)

 --存命作家で12万人の入場者は驚異的です

 美術館のスタッフも驚いていました。雑誌フィガロをはじめ国内外のメディアにもたくさん取り上げていただき、とても光栄に思っています。内容は、初期から青や緑なども使った新しい作品を展示しました。

 --ポンピドーは欧州最大の近現代美術の殿堂です

 1966年にフランス政府の給費留学生として渡仏して以来、ずっとパリで制作を続けていますが、ポンピドーで個展をするということ自体、最近まで雲の上のことのように思っていました。

 --半世紀にわたる異国の地での制作には苦労はありましたか

 作家ですから、作品を買ってほしい、名前を知ってほしいという思いは常にあります。自分を信じてやってきました。制作活動をやめたいと思ったことは一度もありません。ただ生活のために皿洗い、ペンキ塗り、引っ越し作業などいろんなアルバイトをしました。

 --どのような転機がありましたか

 いくつかの出会いに感謝しています。その一人が韓国の作家、鄭(てい)相(そう)和(わ)さんです。70年代、版画にのめり込んでいたのですが、アトリエにやってきた彼になぜボンドをやめたのかと言われたんです。そこから再びボンドを使った作品づくりに本格的に取り組むようになったんです。それでも、また具体時代と同じことをやってるな、と。

 それで次は、真っ白な紙を前に禅問答をしたんです。僕は、詩も書けないし、小説も書けない。それなら日記を書くように、鉛筆で線を一本、一本塗り重ねていくのはどうかと。長さ10メートル、幅1・5メートルほどの紙にそれをやって友人に見せたら、おもしろい、と言われて自信になった。それが80年代です。鉛筆作品に取り組むきっかけですね。

 2013年のニューヨークのグッゲンハイム美術館の「具体展」の影響も大きいと思っています。これは具体の第1世代である白髪一雄さん(1924~2008年)、田中敦子さん(1932~2005年)らだけでなく、僕たち第2世代にも目が向けられたことです。

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