PR

ニュース プレミアム

【正論1月号】日中関係象徴する北大教授拘束 試される安倍政権 産経新聞論説副委員長 佐々木類

 さて、その岩谷氏だが、中国政治が専門で、二〇〇七年に防衛研究所戦史部教官のほか、外務省大臣官房国際文化協力室主任研究官を務め、一六年から北大法学研究科と法学部の兼任教授となった。慶応大出身の法学博士である。

 中国政治が専門といっても、岩谷氏の研究実績をみると、「日中戦争初期中国的対日方針」「中国共産党情報組織発展史」「北伐後における中国国民党組織の展開とその蹉跌」-など、戦史に関する論考がほとんどだ。公表された論考を見る限り、陸海空やサイバーや宇宙、電磁波などのいわゆるインテリジェンス(軍事情報)とは縁遠い研究をしていたようである。

 岩谷氏について、中国外務省の華春瑩報道官は十月二十一日の記者会見で、「中日領

事協定の関連規定に基づき、日本側のために必要な協力を行う」と述べ、身柄を拘束していることを事実上認めた。拘束容疑など具体的な状況については「把握していない」と説明を拒否したが、「日本側は自国民に中国の法律を尊重し、中国で犯罪活動を行わないよう注意を与えてほしい」と拘束を正当化した。

 解放後、耿爽報道官は会見で「中国の国家機密に関わる資料を収集していたため取り調べを行った。教授は事実を認め反省の意を示したため、法律に基づき保釈した」などと語った。

 だが、思い出してほしい。三権分立を否定する中国で、中国共産党の支配から独立した司法判断は存在しないのである。習近平政権はしきりに「法に基づく統治」を唱える一方で「法治」は党の指導下にあるとも強調している。中国による法の恣意的運用は疑い出せばきりがない。政治の風向き次第で人身の自由を奪うことは中国のお家芸だ。

 中国当局の見解にだまされてはいけない。二重基準(ダブルスタンダード)は目に余る。その見本が、中国の通信機器大手、華為技術の孟晩舟副会長が昨年十二月、米国の要請でカナダ当局に逮捕された一件だ。中国外務省は、「理由を示さないままの身柄拘束は人権侵害だ」とカナダ当局を批判したが、いったいどの口がそれを言うのか、あきれるばかりだ。独裁国家はやりたい放題 もっとも、中国共産党一党支配という独裁国家にあって、何をしようがしまいが、利用価値があると目をつけられれば、何とでも理由をつけて拘束されてしまう、それが今の中国なのである。頼まれて温泉掘削に協力し、穴を掘ろうとしただけで捕まったケースもあるから酷いものだ。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ