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【正論1月号】日中関係象徴する北大教授拘束 試される安倍政権 産経新聞論説副委員長 佐々木類

天安門広場に掲げられた中国旗(ロイター)
天安門広場に掲げられた中国旗(ロイター)

 ※この記事は、月刊「正論1月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 現在の日中関係を象徴するような事件が発覚した。北海道大学教授の拘束事件である。十一月十五日に解放され、帰国したが、なぜこの事件が今の日中関係を象徴するのかは、このリポートを最後まで読んでいただければ分かると思う。

 九月に中国を訪問した四十代の男性教授が、中国当局に身柄を拘束されていたことが十月十八日に判明した。産経新聞は前日の自社サイトに流していた。産経は翌日、一面トップで詳しく報じ、朝日新聞や民放各社が後追いした。

 教授、岩谷將氏は日本人で、防衛省付属機関の防衛研究所や外務省に勤務した経験がある。スパイ活動など国家安全危害罪に関連する容疑を受けたとみられるが、濡れ衣である可能性が高い。具体的根拠を示さないまま、「反スパイ法に違反していた」などと発表しているためだ。

 岩谷氏は中国社会科学院近代史研究所の招待に応じて訪中した。二週間の滞在予定だったが、九月初め、訪問先の北京から家族に電話で、「体調が悪くなったからしばらく帰れない。滞在が長引く」と話し、消息を絶った。岩谷氏はかつて、筆者に対し、研究のため訪中するたびに尾行がつき、盗聴されていると苦笑いしていた。

 日本国内にいても、在京中国大使館に立ち寄ったり、在留中国人と接触するとその日の晩、行動を確認する電話が入ったりするなど絶えず誰かに監視されていた。事態は現在進行形であり、この場ではつまびらかに出来ないが、筆者は岩谷氏から直接それを聞いている。

 一九九〇年代、産経新聞社会部の警視庁で経済事件や外事・公安事件を担当していた筆者の推測に過ぎないが、日本国内でも彼の動静は中国大使館のみならず、さまざまな方面から注目されていたのは間違いなかろう。平穏な日常生活に身をやつしていると、独裁国家と関わることが、それが純粋に学術的研究であったとしても、深い闇が広がっていることに気づきにくいものなのである。ご家族の心中はいかばかりかと思う。授業をとっている学生も一刻も早い岩谷氏の帰国を待っていたはずだ。無事帰国の報せに安堵しただろう。

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