【日本語メモ】立場が対等・同権か下級か
大学入学共通テストへの英語民間試験の導入見送りを決定するなどのニュースでも注目を集めている文部科学省。受験生や教育機関をはじめ大きな影響を与えています。活動内容をみると、教員養成部会やいじめ防止対策協議会といった教育行政のほかに、原子力科学技術委員会や地震火山部会などの科学分野も目につきます。
(1)昭和61年に文部科学省に入省し、平成30年に退職した。
ところで、文部科学省はいつから「文部科学省」なのでしょう? 答えは平成13(2001)年1月。中央省庁が「1府22省庁」から「1府12省庁」に再編されたときです。もともとは、「文部省」で、科学技術庁と統合して文部科学省になりました。ほかに、統合で誕生したのは厚生労働省や国土交通省など。大蔵省は財務省、通商産業省は経済産業省にそれぞれ名称変更されました。官僚の経歴や、過去の行政記事をチェックする場合、当時の省庁名は必ず調べるようにします。
(正解例)昭和61年に文部省に入省し、平成30年に文部科学省を退職した。
(2)数十年にわたり、継ぎ足してきたたれが自慢だ。
よく老舗のうなぎ専門店などを紹介する際、「たれ」の話でこういう表現が出てきますね。「継続して使う」というイメージで「継ぐ」を書いてしまうのでしょうが、液体の場合は「そそぎこむ」ことなので「注ぐ」です。産経ハンドブックでは、漢字表にない訓読みなので、平仮名表記とし、「つぎ足す」となります。
(正解例)数十年にわたり、つぎ足してきたたれが自慢だ。
(3)政権委譲が順調に進んでいる。
「委譲」は「権限などを下級のものに委ねる」こと。「社長の権限の一部を役員に委譲する」というように使います。「移譲」は「権限などを対等・同権の他に渡す」意味。任せるのか移すのかという点を重視して使い分けを判断します。政権や主権の場合は「移譲」が正解です。行政関係では「移譲」が多いですね。
(正解例)政権移譲が順調に進んでいる。
(4)車種の具体的な企画について検討する。
これは数年前の記事の実例です。自動車の「キカク」は「規格」? あるいは「企画」? 規格なら車体の大きさなどに関わることですし、企画なら「家族向け」など商品コンセプトと受け取れます。結局、出稿部に問い合わせ、「仕様」と直しました。
(正解例)車種の具体的な仕様について検討する。