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【正論1月号】後藤新平の「国難来」再来 政治の体たらくを憂う 国家基本問題研究所主任研究員 湯浅博

 海を隔てた大陸は、毛沢東以来の権力を握った習近平国家主席が、独裁制へと歴史を逆走させている。半島では、北朝鮮“王朝”の三代目が核ミサイルを抱いて離さず、韓国の反日政権は北の顔色ばかりうかがっている。そして、北方には、衰退の著しいロシアが大国意識にしがみつき冒険主義をひた走る。 日本は戦後世界秩序を破壊するこれら全体主義国家との最前線にありながら、後藤のいう「国難来たる」という危機意識がまったくない。これを少しでも回避しようと、安倍晋三首相がふかした日本国憲法改正の審議はなお歩みが遅い。香港デモで流血の人権弾圧があっても、日本政府も国会も批判の声を上げないのはどうしたことか。 安倍首相も参加した八月の主要七カ国首脳会議(G7ビアリッツ・サミット)は、中国が約束した通りに香港に高度の自治を認め、大規模デモを暴力で鎮圧しないよう求めることで合意したはずだ。イギリス政府はいち早く香港警察によるデモ隊への実弾発射を非難する外相声明を出し、アメリカ議会は下院がデモ隊の民主化要求を支援する法案を全会一致で可決している。

 それに比べて、日本の政界は何をためらう。香港当局の弾圧政策も、その背後にいる中国に対しても、ごく一部を除いてまったく批判しようとしない。与党も野党も香港の人権問題で動こうとせずに、「中国を刺激せず」などと口をつぐむ。民主主義の議会として、内外に向けて「弾圧反対」の国会決議一つ出していないのだ。

 タコつぼ状態の立憲民主党や国民民主党は、国内で大きな口を叩くが、外に向かってはからきし意気地がない。モリカケ問題が不発に終わったためか、今度は首相主催の「桜を見る会」で、支持者を招待したことが「利権だ」などという。民主党政権でも踏襲してきた桜の行事を「縮小か中止か」で済むものを、「政権追及」だというのだから政治が小さい。上智大学名誉教授だった渡部昇一は、「衆愚政治でも外敵さえいなければいい制度であろうが、この世界には常に外敵がいる」と的確に述べていた。

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