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【日本語メモ】大丈夫じゃない「大丈夫です」

 「道を聞いてもいいですか?」「大丈夫です」

 先日、通勤途中の駅前で目にした光景です。

 互いに面識のない男子大学生らしい2人が、すれ違いざまに言葉を交わしていました。

 道を聞かれた学生が「大丈夫です」と言って立ち去ろうとすると、尋ねた方が不満げに「こっちは大丈夫じゃないよ~」と言い返していたのです。

 道を聞かれて即答で断るのは、コミュニケーションの取り方として違和感が残りましたが、興味深かったのは「大丈夫」をそれぞれ別の意味に使っていながら会話が成立していたことです。

 「大丈夫」の意味は、手元の辞書によると「あぶなげがなく安心できるさま」「強くてしっかりしているさま」「まちがいがなく確かなさま」などとなっています。

 また、近年の辞書によっては、補足として、若い世代がはっきり言わず遠回しに断る意味を載せているものもあるようです。これは実際によく耳にするようになってきましたから、将来的には一般的な使われ方になっていくのでしょうね。

 しかし、対面での会話であれば、その場の雰囲気や声のトーン、表情などで肯定・否定どちらの意味か判断できるのですが、文章にするとそういうわけにはいきません。そのまま表現すると読む方は混乱してしまいます。

 新聞記事を校閲する際には、前後の文脈などに気を配り、曖昧な表現がないか、正確に事実が伝えられる内容になっているかを常にチェックをしています。

 「大丈夫です」と同様に、肯定と否定の両方で使われる「結構です」という言葉がありますが、こういった意味がどちらにも取れるものや反対の意味に誤解されそうなものには、補足をするなどの工夫が必要となってきます。

 曖昧な部分をはっきりさせるため、肯定の場合には「(はい、)結構です」「(それで)結構です」、否定の場合には「(いいえ、)結構です」「(もう)結構です」などと言葉を少し補うだけでずいぶん違ってきます。

 とはいいつつも、最近もコンビニで買い物をした際、「レシートはいりますか?」と聞かれたときに「いりません」と言うつもりが、とっさに「大丈夫です」と言葉が出てしまいました。果たして自分の意図が相手に伝わったのかどうか心配していたところ、店員はすぐにレシートを引っ込めてくれました。ほっとすると同時に、会話となるとうまくいかないなと内心苦笑いしてしまったのでした。(二)

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