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外から見た世界体操 野々村笙吾の「焦り」と「決意」

【世界体操2019】種目別決勝 観戦する神本雄也(左)と野々村笙吾=12日、ドイツ・シュツットガルト(川口良介撮影)
【世界体操2019】種目別決勝 観戦する神本雄也(左)と野々村笙吾=12日、ドイツ・シュツットガルト(川口良介撮影)
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 2020年東京五輪の足音が少しずつ、だが着実に近付いてきた。体操男子団体総合の代表選考レースも8日の個人総合スーパーファイナル(群馬・高崎アリーナ)から、いよいよ始まる。

 この大会に出場できるのは、5月のNHK杯上位12人と強化本部長推薦の北園丈琉(たける)(大阪・清風高)の計13人。優勝と2位の選手は来春のワールドカップ(W杯)シリーズに2大会ずつ出場でき、さらにW杯で、シリーズ内のトップ3に相当する高得点を挙げれば1人が代表に内定する。これが最短で東京五輪を決められるルートとなる。

 「狙うのは、そこだけですね」

 こう語るのは野々村笙吾(しょうご)だ。セントラルスポーツ所属の26歳。14年中国・南寧世界選手権団体銀メダリストの実力者だが、五輪の出場経験はまだない。

 10月のドイツ・シュツットガルト世界選手権で野々村は補欠だった。チームに帯同し、万一の事態に備え、そして最後まで出番のないまま大会を終えた。

 「いい経験ができたかな。瀬戸際のところで出る、出ないといわれるわけで、精神的に難しい面はありました」

 現地入り後の練習で、谷川航(わたる)=セントラルスポーツ=が左足首を激しく痛めてしまった。水鳥寿思監督によると、床運動などで満足いく演技ができない谷川をそのまま起用するか、つり輪と平行棒を得意とする野々村に交代するか、コーチ陣の中でも意見は割れたという。

 結局、予選にも団体決勝にも谷川が強行出場。決勝はつり輪と跳馬の2種目だけだったが、水鳥監督は「航がエースとして(チームに)入ってきて、これから東京五輪に向かっていく中で『チームを支える』という壁を乗り越えてほしいという思いが強かった」と起用の理由を説明した。決断の主要因は、あくまで23歳の谷川への期待だった。

 その団体決勝を野々村は観客席でなく、フロアで正選手らをサポートしながら見届けた。優勝したロシアに3・5点以上、2位の中国にも2・5点以上離され、3位にとどまった日本。正選手とともに表彰式で銅メダルを受け取り、何を感じたのか。

 「今回はすごく実力の差があったと思う。日本の選手は誰が出ても3位というのは妥当な順位だったのかなと。悔しいというより焦りというか…」

 ひとごとではない。自分は9カ月後の東京五輪で金メダルを目指して戦う選手なんだ、という意識が言葉の端ににじむ。

 実力を蓄えるということだけを考えれば、補欠に入らず国内に残って、じっくり練習を積んだ方がプラスだったかもしれない。

 「でも、ここに来たからいろいろと感じ取れたものは大きい。正選手の練習を見られたし、審判に評価される演技も分かった。ポジティブに捉えたいですね」

 セントラルスポーツの後輩である萱(かや)和磨の真剣な練習態度とミスのない演技。右肩の手術から復活した同い年のオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)の奮闘ぶり。水鳥監督によると、野々村は試合後すぐ自分自身の練習に取り組んでいたという。

 「日本で一番にならないと世界で戦えない」

 シュツットガルトで感じたことを形にする。簡単ではない目標に向けて、スーパーファイナルでその1歩目を踏み出す。(運動部 宝田将志)

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