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【正論12月号】朝鮮・台湾の日本統治 対談「なぜかくも異なる評価なのか」 拓殖大学学事顧問、渡辺利夫×麗澤大学客員教授、西岡力

日韓併合前に四回、モンゴロイド調査のために朝鮮を訪れたイギリスの女性人類学者、イザベラ・バードが記した「朝鮮紀行」(講談社学術文庫)もそうした朝鮮理解に立って記述している。彼女も私と似た解釈、見方をしているんです。それは李朝時代だけでなく、今日に至るまで連綿と彼らの心の奥底に宿って続いている。慰安婦問題もそのひとつだし、今も彼らに根付いた思考なのです。

 西岡 私にとって韓国人の日本観というテーマはまさに専門でして、最近は北朝鮮の話題を取り扱うことが多いのですが、本来はそのテーマを追いかけ続けてきました。さきほど述べた修士論文というのは、韓国で一九五三年から七十年代まで発行されていた月刊総合雑誌『思想界』に掲載された日本関係記事論文を全部集めて分析したものでした。大雑把にいえば、七割近くが反日で、その論理は、大きく二つに分けられる。そのうち一つが「日本の過去の侵略を許さない」という反日ですが、その底にある論理が華夷秩序に根ざした忘恩背徳論でした。つまり、朝鮮が日本に文化を教えてあげた、にもかかわらず日本はその恩を忘れ、恩人を支配するというとんでもない背徳行為であって通常の植民地支配とは異なっている、というものです。

 一般的に植民地支配とは文明国が非文明国を支配し文明化する、というものです。ところが、韓国を植民地支配する話は、われわれのほうが文明国だったのに、華夷秩序の位では夷狄であるはずの日本に支配された。韓国国内には仮に韓国がイギリス、フランスの植民地になっていれば、日本語ではなく英語やフランス語が話せた。そう考えただけで悔しいという議論さえ、存在します。

 ただ、全体の二割から二割五分ぐらいはそうではない、という理屈も存在します。当時の国際社会は弱肉強食で、韓国が弱かったから植民地支配されたのだ、だから日本が進んでいる部分については日本から学ぶべきだという考えもあるのです。

 一口に華夷秩序が反日をもたらしたというけれども、日本の侵略に反対する華夷秩序による反日もあれば、それとは別に二つ目である「反共の反日」も韓国内にはある。「日本はなぜ共産主義に甘いのか」「どうして在日朝鮮人を北に送ったりするのか」「共産主義国に自由主義陣営の人間を送るなんて逆はあってもあり得ない話ではないか」「日本は共産主義について分かっておらず、自由主義陣営にいながら一緒に戦ってないじゃないか」というのです。そうした反日はリアリズムに根ざしており、反日ではあるが日本に学べという主張にもつながる。そうした考えが存在することは見逃すべきでないと思っています。

 渡辺 日本を克服すべしという克日論というのもそうした系譜なのでしょうね。

 西岡 克日論は八二年、全斗煥政権のときに出てきたものですが、もともとは今述べた反共の反日が先にあって、それが克日論へとつながったものです。「反日種族主義」をまとめたソウル大学の李栄薫先生のようなアンチ反日の主張もそうした流れです。渡辺先生がおっしゃるとおり、韓国では華夷秩序や儒教的なイデオロギーがもともと支配している。それは間違いない。知識人の多くが華夷秩序に囚われているのは事実ですが、それに果敢に挑戦する二〇%ぐらいの層も存在する。その代表例は朴正煕大統領でしょう。

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