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【高論卓説】ラグビーW杯に見た 復興五輪のカギは釜石にあり 田部康喜

試合前に両チームの選手や観客が震災犠牲者に黙祷をささげた=9月25日、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム
試合前に両チームの選手や観客が震災犠牲者に黙祷をささげた=9月25日、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム

 ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会は、列島を熱気に包んだ。日本チームは史上初めて決勝リーグに進出、準々決勝で南アフリカに敗れたとはいえ健闘。東京五輪・パラリンピックの成功につながる、という期待を膨らませた。

 東京五輪・パラリンピックのコンセプトの「つなげよう、スポーツの力で未来に」は、東日本大震災の被災地の魅力を世界に発信して、スポーツが人々に与える勇気や力をレガシーとして被災地に残すことを目指している。「復興五輪」を掲げる由縁である。

 ラグビーW杯大会で震災地唯一の会場となった、岩手県の釜石・鵜住居(うのすまい)復興スタジアムで9月25日に開催された、フィジー対ウルグアイ戦に向かった。試合当日は大快晴となって、秋の日差しが肌に痛いほどだった。試合開始前に、自衛隊・松島基地(宮城県)所属のブルーインパルスの編隊が、青空に白い線を描く。東日本大震災では松島基地にも津波が押し寄せた。

 鵜住居復興スタジアムは、旧鵜住居小学校と旧釜石東中学校の跡地に建設された。釜石市内の小学生約3000人のほとんどが高台に逃げて、津波を逃れた「釜石の奇跡」の場所の一つである。

 会場近くにある、地元の人が建立した「あなたも逃げて」の石碑の前で、地元の女子高校生が震災時に小中学生が逃げた「いのちの道」の図を示しながら説明する。大会旗の入場に先行して、小学生が大きな布をたたんで行進してきた。広げると津波の被害にあった後、世界中からの支援に感謝する大きな文字の文章が現れる。

 スタンドの西側スタンドを埋め尽くしていた、釜石市内の全小中学校14校の約2200人がキックオフの直前、立ち上がって「ありがとうの手紙 #Thank You From KAMAISHI」の合唱が始まる。この曲は市内の全小中学校生から「大切な人への手紙」をテーマにして募集して、歌詞としてまとめた。

 「僕たちがまだ小さかった頃 この町に悲しみがやってきました 灯りも笑顔も失ったとき トラックに乗って 世界中の思いが届いたんだ…ありがとう ありがとう ありがとう 何度言っても足りないよ」

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