PR

ニュース プレミアム

「パプリカ」歌って人気 9歳の新津ちせちゃんが映画初主演

女優、Foorinの一員として活躍する9歳の新津ちせちゃん=東京都渋谷区(石井健撮影)
女優、Foorinの一員として活躍する9歳の新津ちせちゃん=東京都渋谷区(石井健撮影)

 「パプリカ」を歌って子供たちに大人気の5人組グループFoorin(フーリン)の最年少メンバーで女優の新津(にいつ)ちせちゃん(9)が映画に初主演する。18日公開の「駅までの道をおしえて」(橋本直樹監督)で、世界的な俳優、笈田(おいだ)ヨシ(86)を相手に堂々たる演技を披露している。(文化部 石井健)

 「駅までの道をおしえて」は、愛犬を失った小学生と、息子を亡くしたジャズ喫茶のマスターという、年齢は離れているが同じような深い喪失感にさいなまれる2人の葛藤を幻想的に描く。子役と犬が主役と聞いて、愛らしい物語を想像しながら劇場に出かけると、驚かされるだろう。死生観を描き、シニア向けといっていい。

 そんな映画で、9歳の主演女優が渡り合うのが、高松宮殿下記念世界文化賞受賞者で世界的な演出家、ピーター・ブルック(94)に師事し、世界の舞台やスクリーンで活動する86歳。

 ちせちゃんは「笈田さんは世界的に活躍していらっしゃる、すごい俳優さんだと聞いていたので、仲良くなれるのかなって(心配でした)」と、撮影前の胸の内を明かす。「いっぱい、いろんなシーンがあるから、仲良くならないといけない」と女優ならではの理由。

 会ってみれば祖父より年上の国際的俳優は、「僕はこんな国にいて、こんなことをやったんだよ」と、その足跡を丁寧に話してくれたという。休憩時間に、その話を聞くのが楽しみだった。「私の方は、えー、ま、学校の話をしたりとか」

 この映画で“もう1人の共演者”は、2匹の犬だ。ちせちゃんが演じるサヤカが飼っていたルー。白いシバイヌ。笈田が演じるフセ老人が飼うルース。茶と黒が交じった雑種。

 生後3カ月でこの映画への出演が決まったルーは、撮影の半年前に新津家に預けられた。“2人”は、寝起きを共にして距離を縮めた。サヤカとルーが実に楽しそうに走り回る場面は、とても自然だ。それは、この共同生活の成果だ。

 「あれ、全部、アドリブなの。だって、ルーは、広い場所だと駆け回ってどこへ行くか分からないから。ルーとの撮影のときは、『うまくやろう』ではなく、『楽しくやろう』と考えました。実際、すごく楽しかった」

 平成29年から1年半に及んだ撮影。その最終日、ルーは新津家からルースの飼い主へと引き取られた。その日、ちせちゃんは、映画の美術担当者が木っ端から作ってくれた犬の人形を持ち帰り、胸に抱きながら三日三晩泣き明かしたという。やがて、ルースの飼い主が、2匹が仲良く過ごす写真をSNSに掲載するようになり、ちせちゃんの寂しさは癒えた。

 映画初出演は、生後すぐ。言葉通り、生まれたときから女優だ。母親は、娘が2歳になったのを機に児童劇団に入れた。水があった。以来、映画、ドラマ、舞台と活躍している。

 5人組「Foorin」の最年少メンバーとして、30年8月から歌手活動も始めた。人気シンガー・ソングライター、米津玄師(よねづ・けんし)が作った「パプリカ」を歌っている。NHKが、「2020年とその先の未来に向かって頑張っている全ての人を応援するプロジェクト」の「応援歌」として歌番組「みんなのうた」などで放送。子供ならだれもが歌って踊れる大人気曲となっている。

 「歌は、もともと好きで、お風呂で漫画を読みながら、米津さんとかRADWIMPS(ラッドウィンプス)とかを歌っています。Foorinの活動は楽しい」とニッコリ。

 ちなみに、RADWIMPSを歌うのは父親の影響だという。この4人組ロックバンドは、新海誠監督(46)の大ヒットアニメーション映画「君の名は。」や「天気の子」の主題歌などで人気を博したが、ちせちゃんは新海監督の一人娘だ。

 そのお父さんからの助言は、ただ「スタッフさんに対する感謝の気持ちを忘れずに、『ありがとう』をいいなさい」だけ。「仕事から帰ってくると私と遊んでくれます。昨日もかくれんぼをしました」

 一方、女優の仕事は楽しいかと問うと、「楽…、楽…、楽…」と言いよどむ。楽しいと断言しない。「だって、女優の仕事は何年やっても答えは出ない。分からないから、ずっとやっているんじゃない」と大人顔負けの答え。「それに、中学とか高校に行けば、もっと私が好きになれる職業がみつかるかもしれないから」

 9歳。前途はまだ洋々としている。

 あらすじ 湾岸の街で、8歳のサヤカ(新津)とジャズ喫茶のマスター、フセ老人(笈田ヨシ)が出会う。サヤカは愛犬のルーがいなくなったこと、フセ老人は数十年前に息子を亡くしたことを、それぞれ受け入れられずにいた。2人は、やがて不思議な駅で不思議な電車と遭遇する。その客席にいたのは…。作家、伊集院静の同名小説が原作。

にいつ・ちせ 平成22年、東京都出身。ゼロ歳で映画初出演。2歳で児童劇団に入り、ミュージカル「ミス・サイゴン」(26年)で本格デビュー。映画「3月のライオン」(29年、大友啓史監督)で注目される。映画は他に「バースデーカード」(28年、吉田康弘監督)など。ドラマは「ツバキ文具店~鎌倉代書屋物語」(29年)、「海月(くらげ)姫」(30年)など。アニメ監督、新海誠の長女。母は女優の三坂知絵子(みさか・ちえこ)。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ