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【経済インサイド】日本特有、株式持ち合い解消が加速

持ち合い厳格化

 株式の持ち合いは、取引先との関係の維持・強化や買収防衛策の一環で広まった日本特有の株式保有の仕組みだ。近年は、海外の機関投資家を中心に、「物言わぬ株主」の存在が企業統治の改善を邪魔したり、企業が新たな投資に回せる資金を減らしたりすることにつながると批判が強まっていた。

 東京証券取引所の企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)は、株式持ち合いの目的が適切か精査すべきとしているほか、金融庁は31年3月期の有価証券報告書から、純投資と政策投資の違いや、個別の政策保有株の目的・効果などの説明を求めている。保有銘柄の個別開示も厳格化した。

 ただ、多くの企業は有価証券報告書で、政策保有の狙いについての説明を「取引関係の維持と強化」といった文言にとどめているのが現状だ。

 これらの企業に対し、野村資本市場研究所の西山賢吾主任研究員は「たとえば統合報告書やホームページで、政策保有株について取締役会でどんな議論があったかを説明したり、社外取締役の政策保有株式に対する考え方を紹介するなど、より詳しい説明が求められる」と指摘する。

 こうした中、株式持ち合いと議決権行使を関連づける動きが出てきた。世界中の機関投資家に影響力を持つ米議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)が方針を改定し、令和2年2月以降の株主総会から、新たに政策保有銘柄企業出身の社外取締役と社外監査役は独立性がないと判断することにした。

 西山氏は「ISSの方針改定は企業に対し、政策保有株式の保有合理性の再検討や、より独立性の高い取締役会の構成を促すことになるだろう」と期待する。

 ただ当面、機関投資家が照準を合わせるのは、投資先企業との対話活動となりそうだ。より有意義な内容にするため、西山氏は「企業の政策保有株式の水準に対する目線を機関投資家間である程度そろえていくことが有用だ」と提言する。

市場も評価

 持ち合い解消は実際、株式市場で評価されている。リクルート株の売却を表明した凸版印刷や大王製紙の株価は上昇傾向が続く。オリンパス株の売却を発表したソニーの株価も同様だ。

 非効率な持ち合い株を手放して得たお金を研究開発や設備投資に回せば、企業の競争力強化が期待できるからだ。持ち合い解消は今後も進むことが予想されており、停滞しがちな日本の株式市場により多くの投資マネーを引き寄せる原動力となりそうだ。(経済本部 米沢文)

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