PR

ニュース プレミアム

【河村直哉の時事論】香港めぐる情報戦 日本は自由と民主の側に

8日、在香港米国総領事館近くの路上で、米議会に「香港人権・民主主義法案」の可決を呼びかけるデモ隊(西見由章撮影)
8日、在香港米国総領事館近くの路上で、米議会に「香港人権・民主主義法案」の可決を呼びかけるデモ隊(西見由章撮影)

 逃亡犯条例改正案を撤回させた後も香港では、警察の暴力に対する独立調査委員会の設置など「5大要求」の実現を求める抗議活動がなお続いている。撤回は10月1日の建国70周年を穏便に迎えたい中国の懐柔策だろう。この間、中国が激しい情報戦を香港に仕掛けているらしいことは、伝えられる報道から見当がついた。異形の国らしい戦術である。

 平和裏に民主化を求める香港内の勢力の声を尊重したい。日本は自由、民主を守る側に立って動向を注視していくべきである。

■古典兵法のはかりごと

 筆者の理解では、現代の中国の対外戦術は、古典兵法と共産主義が融合した上に成っている。はかりごとの重視、敵対勢力への離間策、扇動や宣伝、国内の情報統制などは中国において顕著に認められる。

 米国の戦略家、エドワード・ルトワック氏は2012年の著書「自滅する中国(邦題)」で、中国が大きな戦略を立てる際の「障害」についてこう書いている。「それは、彼らが古典に書かれた戦略の智慧(ちえ)が優れていると頑(かたく)なに信じ込んでおり、その結果として『中国はいつでも賢い手段によって敵の裏をかくことができる』と思っていることだ」

 敵の裏をかく、すなわちさまざまなはかりごとをめぐらす中国の戦術は、香港のデモでは情報戦として現れた。

 8月半ば、米紙ニューヨーク・タイムズは香港情勢にからみ、「香港の抗議者に中国が偽情報戦(ディスインフォメーション・ウオー)を行っている」とする記事を載せた。それによると中国は国営メディアやソーシャル・メディアで香港の抗議者のイメージを損なう写真や映像を流し、テロリズムの前兆として位置づけようとした。国民への「洗脳」の結果だろう、中国のソーシャル・メディアには「戦車を送って連中を一掃せよ」などの心境を吐露した書き込みがあったという。

 しばらくして、中国当局が関与したとされるツイッターとフェイスブックのアカウントが排除された。削除されたツイッターのアカウントでは、ニュースサイトを装ってデモ隊の写真とともに「香港に過激な人間はいらない。ここから出ていけ!」などと書かれていた。ツイッターは声明で「香港の政治的な対立をあおっていた」とした。

 フェイスブックで削除されたページには、香港での抗議活動とイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の写真を並べ、結びつけているものもあった。いずれも、民主化勢力の活動を暴力的なものと印象づけ、香港の内外で反感を起こさせようとしたものだろう。

(次ページ)印象操作の可能性…過去、日本も標的に

関連トピックス

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ