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日本人が頼りにすべき価値観とは 佐伯啓思氏監修の新言論誌「ひらく」創刊

創刊された言論誌「ひらく」。文化や思想など大きなテーマ設定が魅力だ
創刊された言論誌「ひらく」。文化や思想など大きなテーマ設定が魅力だ

 われわれが頼りにするべき価値観は何か-。京都大学こころの未来研究センター特任教授で思想家の佐伯啓思さんが監修した、現代文明や日本思想についての言論誌「ひらく」(エイアンドエフ)が創刊された。年2回刊で、文学や社会科学、芸術論など幅広い分野を追求していくとしている。

多様な書き手

 創刊号はB5判約250ページで定価2200円+税。特集として「日本文化の根源へ」「現代という病」の2つを掲げ、哲学者の東浩紀さんと先崎彰容(あきなか)・日本大教授、佐伯さんによる鼎談(ていだん)をはじめ、芥川賞作家の又吉直樹さんのインタビュー、藤本龍児・帝京大准教授の評論「『ポスト・アメリカニズム』の世紀」、建築家の竹山聖・京都大教授によるモダニズム建築論など、思想、美術、文明論を中心に多様な論考が並ぶ。編集工学研究所所長の松岡正剛さんや詩人の荒川洋治さんといった大家から気鋭の若手まで、特定の人脈にしばられない多様な書き手が集まっているのが特徴だ。

 佐伯さんは「雑誌の2つの柱は日本思想論と現代文明論」として、「今は各学問の細分化が進み過ぎ、全体としての現代社会像が提示できなくなっている。現代社会を1つの大きな文明として理解する必要性を前から感じていた。西洋近代文明が行き着いた果てとしての現代を批判的に問い直し、またその状況下で日本人が何を頼りにしていけばいいかを考えたい」と刊行の意図を明かす。

日本文化の探求

 特に日本人を支えるものとしての日本文化の探求には力を入れるという。

 「われわれは案外、日本文化や日本思想をよく分かっていない。個々の専門家の成果はあるのだが、それがどうも普通の読書人の手に渡っていない。一般の論壇誌が政治や経済を論じるのとは違う形で、日本という国が持っている価値や文化を論じていければ」

 佐伯さんは昨年亡くなった評論家の西部邁さんが主宰した保守思想誌「表現者」に中核メンバーとして長く携わっていた。同誌の後継としては藤井聡・京都大教授が編集長となった「表現者クライテリオン」(啓文社書房)が創刊されているが、佐伯さんは「西部さんの影響を強く受け、そこから出発しているのはわれわれも同じ」とした上で、「『クライテリオン』は西部さんのアクティブな部分を受け継ぎ、言論で政治に働きかける雑誌。『ひらく』も広い意味での保守の立場だが、現実政治や政策論からは一歩退き、われわれが頼りにするべき価値観は何か、といったスケールの大きい問題を扱っていきたい」と話す。

 「現代文明は危機を迎えている。その危機を生み出したのは、大きく言えば西洋近代文明。もちろん日本もそこに入っているが、取り込まれきれない部分がある。そこにもう一度着目して、日本から西洋近代社会とは別の価値観を打ち出すことができれば」  (文化部 磨井慎吾)

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