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【中東見聞録】「歓迎されざる客」となった難民 シリア政策誤算でトルコの重荷に

新オスマン外交のツケ

 そもそもエルドアン氏は、シリア内戦当初から反体制派を支援し、アサド政権の退陣を主張してきた。シリアを影響下に収め、かつてのオスマン帝国の後継国家として大国トルコの復活を果たす好機とみたためだ。その外交政策は「新オスマン主義」と呼ばれた。シリア難民の大量受け入れも、その路線上にあった。

 しかし、アサド政権はロシアやイランの助力で生き長らえ、いまや反体制派が勝利する可能性はほぼない。

 内戦の混乱に乗じてイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が台頭したことは、結果的に、トルコが敵対する少数民族クルド人勢力の伸長をも招いた。米国主導の有志連合が、ISに対抗させるためにクルド勢力を支援したためだ。

 クルド勢力に国境を脅かされることになったトルコは、シリアへの軍事介入を余儀なくされ、米国との関係も冷え込んだ。

 トルコ経由で流入したシリア難民に欧州各国が拒絶反応を示し、ポピュリズム(大衆迎合主義)勢力の伸長につながったことは記憶に新しい。これに対してエルドアン氏は、日ごろは人権問題で口うるさくトルコに注文を付ける欧州が、難民の受け入れに及び腰なことを批判していた。

 ところが現在では難民問題が、エルドアン氏自身にとっての重荷となっている。トルコ政府は、戦闘が収束している地域出身の難民の帰還を支援するなどとしているが、荒廃した母国よりも経済的なチャンスが多いトルコを選ぶ難民は多いだろう。誤算続きだったシリア政策のツケは、今後も重くのしかかる。

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