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【経済インサイド】豚コレラ、中国などから侵入か 感染拡大に農水省は手詰まり

 豚コレラが発生した福井県越前市の養豚場周辺で、防疫作業の準備をする作業員=7月29日
 豚コレラが発生した福井県越前市の養豚場周辺で、防疫作業の準備をする作業員=7月29日

 昨年9月に26年ぶりに発生し、現在も猛威を振るっている豚コレラの感染経路について、農林水産省の疫学調査チームが中間とりまとめを公表した。中国やその周辺国からの旅行客が不正に肉を持ち込むなどしてウイルスが日本に入り、ウイルスを含む肉が廃棄されて野生イノシシに感染したのが発端になった可能性がある。

 感染経路の究明により、ウイルスの封じ込めが急がれるが、効果の高いワクチン接種ができない“お家の事情”もあり、農水省は思い切った対策を打ち出せないでいる。

 一連の感染で大きな役割を果たしているのは、野生イノシシだ。感染地域が拡大している理由について、農水省はウイルスが強毒でなくなったことを上げる。1970年代に流行したときは強毒だったため、野生のイノシシが数日で死んだ。今回のケースでは、イノシシが数週間生きながらえるため、感染が広がっているというわけだ。

 調査チームの分析対象になった事例では、出荷先を含めて岐阜、愛知、長野、滋賀、大阪の5府県で豚への感染が確認された。農水省は、畜産農家に対し、車両の洗浄・消毒、野生イノシシが入ってこないよう防護柵の設置などを徹底するよう改めて呼びかけた。

 こうした中、豚コレラの被害防止を訴える発生地周辺の養豚農家からは、被害拡大を防ぐためにも一刻も早い豚へのワクチン接種を実施すべきとの声が上がっている。

 長野県の阿部守一知事は8日、農林水産省を訪れ、感染拡大を防ぐために農場で飼育する豚にワクチンを接種する必要があるとの考えを吉川貴盛農水相に伝えた。阿部知事は「豚へのワクチンは最も効果的な手法。県内の農家は一日も早く打ちたいと思っている」と述べた。

 農水省は、発生県の豚に対するワクチン接種の是非について検討を始めている。対象地域の豚の移動を制限したり、豚肉が域外で販売されないようにしたりするなど、ワクチンを使った豚肉が地域外に流通しない厳格な仕組みを構築することなどを協議している。

 しかし、吉川農水相は2日の会見でもワクチン接種について、「慎重に判断していく」との姿勢を崩さなかった。なぜなら、豚にワクチンを使うと、国際機関が豚コレラを撲滅しているとして認定する「清浄国」への復帰に時間がかかり、各国が日本からの豚の輸入を避ける可能性があるからだ。

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