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【一聞百見】佐渡裕さん今夏も被災地へ、鎮魂の演奏会を子供らと 兵庫県立芸術文化センター芸術監督

「スーパーキッズ・オーケストラ」の演奏を指導する佐渡裕さん。「聞く人の心に届くように」と語りかける =神戸市長田区(恵守乾撮影)
「スーパーキッズ・オーケストラ」の演奏を指導する佐渡裕さん。「聞く人の心に届くように」と語りかける =神戸市長田区(恵守乾撮影)
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■音楽のワクワク、子供らに

 「耐え難い経験をした人をも音楽で心をときほぐせること、そして、日本に生きている限り無常だけれど災害とは無縁でないことを知って、人生を考える糧にしてほしかった」。佐渡さんと毎年、東北で鎮魂演奏会を続けているSKOは、小学生から高校生までが在籍する子供楽団だ。芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センターには、3年で楽団員が卒業していく育成型の管弦楽団(PAC)もあるが、演奏会に赴くのが子供のSKOである理由はそこにある。被災地での体験を通じて子供たちは表現力が増し、芸術系で最難関の東京芸術大への進学者が増えたり、医学部に進学した子供もいるという。音楽を通じて得た経験が、人生の指針となることもある。

 「残されたエネルギーと時間を教育に捧(ささ)げたい」。バーンスタインが、亡くなる4カ月前の平成2年6月に来日した際のスピーチだ。この年、バーンスタインの提唱で日本初の国際教育音楽祭「パシフィック・ミュージック・フェスティバル」(PMF)が札幌市で始まった。そして、バーンスタインは佐渡さんの才能を見いだしたのだ。「小澤征爾さんの成功で日本人にも音楽を理解し海外のオーケストラをまとめる力があることをバーンスタインは確認した。その小澤さんとも違う面白さを僕に感じたのでしょう」と佐渡さんは控えめに語る。

 こうして薫陶を受けた佐渡さんが教育にかける思いは熱い。「佐渡学校」ともいえるPACの卒業生は約200人、SKOは約100人にのぼる。「彼らに接するなかで僕自身が夢を語っているか、自問自答している。バーンスタインいわく僕は『泥のついたジャガイモ』。泥を取ったら世界中の人が食べるようになるということらしい。この言葉を頭の片隅に置いている」と笑う。

「若い人に負けないようにいつまでも夢を語っていたい」と話す佐渡裕さん =神戸市長田区(恵守乾撮影)
「若い人に負けないようにいつまでも夢を語っていたい」と話す佐渡裕さん =神戸市長田区(恵守乾撮影)
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 夢を語るひとつの方法として、佐渡さんは1冊の絵本『はじめてのオーケストラ』(平成28年、小学館)を書いた。愛娘(まなむすめ)が小学生となり、コンサートに入場できるようになった喜びをつづっている。「僕もおめかしをして母親にコンサートに連れて行ってもらったわくわく感はいつまでも忘れない。多くの奏者がかなでる音楽のすばらしさと、客席にいる人たちとの一体感は何にも代え難い。そんな体験を多くの子供たちにしてほしいと願って書いた」

     ◇

【プロフィル】佐渡裕(さど・ゆたか) 昭和36年京都府生まれ。京都市立芸術大卒業。1987年米国タングルウッド音楽祭で世界的指揮者のレナード・バーンスタイン、小澤征爾に見いだされる。89年仏ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝しプロデビュー。95年レナード・バーンスタイン・エルサレム国際指揮者コンクール優勝。TV番組「題名のない音楽会」司会で知られ、2011年にはベルリン・フィルを指揮。15年からオーストリア・トーンキュンストラー管弦楽団音楽監督。著書に「棒を振る人生~指揮者は時間を彫刻する~」(PHP)など。

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