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【大人の遠足】秋田・潟上 夕日の松原 人間の叡智と愚かさ垣間見る

砂防林造成に功績のあった一人、栗田定之丞を祭る栗田神社。境内にはみごとはクロマツが生い茂る=秋田市新屋栗田町
砂防林造成に功績のあった一人、栗田定之丞を祭る栗田神社。境内にはみごとはクロマツが生い茂る=秋田市新屋栗田町
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襲い来る砂の脅威

 四六時中砂掻きをしないと家が埋もれる砂丘の集落で、女と男の葛藤を描く映画『砂の女』。飛砂被害に苦しむ山形県酒田市の写真を見たときの衝撃を元に安部公房が書いた小説が原作だ。生きているかのように襲い来る砂の脅威は、映画だけではなく、現実に今もそこにある。

 秋田駅から車で15分ほど。秋田港周辺のコンビナートや物流地帯を抜け切らぬうちから、松の梢が姿を見せ始め、抜けてすぐバイパスの両側には、それはみごとなクロマツ林が広がる。秋田市北部から潟上市にかけて伸びる「夕日の松原」だ。樹高はゆうに10メートルを超す。

 所々に保安林の標識や作業路入り口があり、その一つから入る。松葉が積もってふかふかの小道を、木漏れ日を浴びて歩く。聞こえるのは、元気な野鳥の声と、松風のそよぎだけ。

 見上げれば林床は内陸側に数十メートルも盛り上がっている。かつての秋田砂丘だ。斜面を指で掘ると、薄い松葉層の下はすぐ砂地。300年前の砂丘と現代の松原の微妙なバランスを見た。

 バイパスを挟んで海岸に降りる。青空の南方に霞む鳥海山を望み、北は男鹿半島まで続く渚に白波が寄せ、緑の松林が伸びる。日本海特有の偏西風に吹かれ、日頃の憂さも忘れそうだ。

 だが飛砂の脅威は、すぐそこにあった。砂浜からハマボウフウなど海浜植物帯を上がった海岸遊歩道に、吹き上げられた飛砂が40~50センチも積もっている。目が細かくて固く締まり、踏んでも足が沈まない。こんな飛砂に家や畑がのまれてしまえば、為(な)す術(すべ)はなかったろう。

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