PR

ニュース プレミアム

竹村健一さんは「辛口にして可愛げある人」 フジテレビ上席解説委員・平井文夫さん

雑誌「正論」座談会で語る竹村健一さん=平成15年9月
雑誌「正論」座談会で語る竹村健一さん=平成15年9月

 竹村健一さんはフジテレビ日曜朝の時事討論番組「報道2001」のコメンテーターを平成4年から20年までの16年間務め、その間の司会は黒岩祐治さん(現神奈川県知事)だった(途中2年だけ露木茂さん)。1年半の試行錯誤の後に始まった「新報道2001」は21年から30年までの9年間、僕がコメンテーターで須田哲夫さんが司会だった。

 竹村さんのスケールの大きさや認知度を考えると大変おこがましいが、僕は竹村さんの後任だったことになる。そうして改めて竹村さんのことを思い出すと、僕は彼に強い影響を受けていたことがわかった。

 竹村さんのコメントは誰も気づかない視点に基づくものだった。彼が活躍した昭和の時代、特にメディアではまだ左翼が幅を利かせており、彼の保守的なコメントは浮いていた。しかし竹村さんはそんなことは全く気にせず、むしろ人と違うことを誇りにしていた。あの時代、それは珍しく、そしてカッコ良かった。

 僕がコメンテーターになるに当たって決めていたのは、まず人と違うことを言う、ということ。ただし間違ったことを言ってはいけない。これは意外に難しい。人と違うのはカッコいい、というのは竹村さんから学んだことだ。

 テレビを見ていると、人と同じことしか言わないコメンテーターがいるが、彼らは一体何の目的でコメンテーターをやっているのだろう。一方、過激なことをウケ狙いで言うものの、事実関係が滅茶苦茶な人がいるが、これは問題外。

 よく辛口とか毒舌コメンテーターなどと呼ばれるが、気楽にしゃべっているように見えて実は苦労してコメントを精査している。竹村さんも豪放磊落(らいらく)に見えて実は、これでいいのか、と悩んでいたに違いない。

 竹村さんは、「斜(はす)に構えて、いじわるばかり言ってるが、可愛(かわい)げがある」人だった。放送で黒岩さんがふってカメラが向くと、本当に体が斜めになってふて腐れたように座っているのを見るのが大好きだった。

 僕の妻は同業者なのだが、第1に僕が斜に構えていることに常に怒っており、第2に僕を知っている人に会うと、「いつも主人がいじわるなことばかり言ってご迷惑をおかけしてすみません」と謝るらしい。これで僕に可愛げがあれば竹村さんと同じだ。

 竹村さんとまともに話したことは一度だけしかない。約30年前、米国駐在の頃、メーン州で日米首脳会談があり、2人で現地から中継で出演した。合間に一緒に名物のロブスターを食べたりしたが、画面とは違って全く威張らず、若輩の僕にも敬意をもって接してくれる優しい人だった。仕事が終わった後、「これからスキーに行くんや」とボソッと言ったのが可愛らしかった。ご冥福を祈る。(寄稿)

 本紙正論メンバーで第5回正論大賞を受賞した評論家の竹村健一さんは8日、89歳で死去した。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ