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【田村秀男のお金は知っている】“柔軟性”富んだ覇権国家・米国と“緊縮”一本やりの自滅国家・日本… 政治の差は歴然だ

 日本では参院選が終わり、米国では来年の大統領選・議会総選挙の前哨戦が始まった。痛感させられるのは、自滅国家と覇権国家の政治の経済感覚の差である。

 ゼロ%台経済成長というぬるま湯から出ようとしない日本と、より高い経済成長を追求する米国。参院選では政策論争が盛り上がらないまま終わり、安倍晋三政権は高まる景気悪化の足音を背にしながら、デフレ下の消費税増税に突っ走ろうとしている。

 対照的に米国では足下の景気が拡大しているにもかかわらず、共和党と民主党が財政支出拡大で合意し、与野党そろって景気悪化の先手を打って来年の大統領選と議会総選挙での勝利をめざす。

 あきれるのは、日本の経済メディアの相も変わらぬ縮み思考である。トランプ米大統領が、政府債務の上限の引き上げによって今後2年間の連邦政府の歳出と債務の大枠について与野党で合意したと発表すると、「米財政の悪化は避けられない」(7月23日付日経新聞電子版)といつもの説教調で、財政支出拡大=財政悪化の決め打ちである。

 財政支出を削減して「小さな政府」を実現し、あとは市場にまかせると民間主導で景気はよくなるという「新自由主義」の考え方は米共和党の伝統とも言えるが、現実にそぐわなければ臨機応変に減税し財政を拡大する。米国はそんな政治の柔軟性に富んでいる。

 2017年に政権を奪取したトランプ政権は大型減税、インフラ投資拡大に規制緩和を組み合わせて成長率を押し上げることに成功し、その効能が切れそうになるや、今回の財政拡大合意に踏み切った。共和党保守派は民主党のオバマ政権時代は政府債務拡大に頑強に反対したが、トランプ流にはさっさと従った。

 対照的に、不確かな一昔前の経済学教義に縛られて、緊縮一本やりの政策を求めるのが日本である。アベノミクスは出だしこそ、「機動的な財政出動」に踏み切って景気を動かしたが、14年度には大幅な財政支出削減と消費税増税に踏み切り、デフレ不況を再来させた。参院選で野党はこぞって消費税増税に反対したが、財政支出拡大による経済成長推進は念頭になかった。

 経済が成長しないと国家は衰退する。成長を担う現役世代は賃金アップが見込めず、子供を産むのを止めるので少子化問題は深刻化する。国家財政を家計簿と同一視する財務官僚の考え方に支配された日本の政治は、緊縮による一時的な財政収支の改善と引き換えに、国民から活力を奪う。

財政資金収支の対GDP比と実質経済成長率の日米比較
財政資金収支の対GDP比と実質経済成長率の日米比較

 グラフは日米の財政収支と経済成長の最近3年間の推移である。米国の財政収支は悪化しているが、成長率は徐々に上昇を続けている。日本の財政は好転し、財政赤字の国内総生産(GDP)比は米国よりはるかに少ないが、成長率は落ち込んでいる。にもかかわらず安倍政権は秋には消費税率を10%に引き上げる。財務省は消費税率のさらなる引き上げに向けて対与党やメディア工作に余念がない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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