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ダムマニア垂涎 鳥取の新名所

自然豊かな景観にとけ込む高さ19・5メートルの貯水池堰堤=7月6日、鳥取市
自然豊かな景観にとけ込む高さ19・5メートルの貯水池堰堤=7月6日、鳥取市
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 大正4(1915)年に山陰地方で初めて建設された近代水道施設が鳥取市国府町にある。「旧美歎(みたに)水源地水道施設」(国の重要文化財)。貯水池と濾過(ろか)施設、送水施設が近接して残る全国でも珍しい施設だが、建設当時の面影をとどめたレトロな外観も特徴的。昨年4月に一般公開が始まると人気を集め、新たな名所となっている。

雄大なダム、レトロな施設

 「自慢の施設。水道水の大切さと、大正ロマンを感じてほしい」。美歎水源地保存会の澤田勝会長(69)は話す。

 水道施設があるのは、広さ約15・9ヘクタールの谷間。このうち東西に長い貯水池の西端に位置する貯水池堰堤(えんてい)=ダムは高さ19・5メートル、長さ103メートルと迫力がある。上部からの放水が行われていたころは「美歎の大瀑布(だいばくふ)」と呼ばれて親しまれていた。

 砂利や砂を敷き詰めた一辺約22~26メートルの四角い濾過池が5つ並ぶのも壮観。この濾過池で浄化された水を集め、下流に送り出す「接合井(せつごうせい)」は直径3・1メートルの円筒型の上屋が目を引く。レンガ造モルタル仕上げの外壁にドーム形の屋根が乗っていて、施設のシンボルとしての役割もあった。

ドーム型の屋根が目を引く「接合井」。施設のシンボルとしての役割があった=7月6日、鳥取市
ドーム型の屋根が目を引く「接合井」。施設のシンボルとしての役割があった=7月6日、鳥取市
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地形にあわせて配置された5つの濾過池=7月6日、鳥取市
地形にあわせて配置された5つの濾過池=7月6日、鳥取市
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台風で決壊、8人死亡の過去

 市によると、同施設は清潔な水を確保するため鳥取市が大正4年、当時の年間予算の5倍にあたる51万円を投じて建設した。当時、市街地の人々の多くは鳥取城の外堀にある袋川の水を飲んでおり、生活排水が混じるなど不衛生な状態だったためだ。

 だが、3年後の7年9月14日に悲劇が起こる。台風でダムが決壊して下流の集落に水が押し寄せ、死者8人を出す大惨事となった。

 奇跡的に助かった当時13歳の男性は手記に「黒い壁が迫ってきた。泣きわめく声や怒号が起こり、水の中に家とともにほうり出された。ほんの一瞬のうちの出来事だった」とつづっている。

濾過池の設置された上屋を説明する美歎水源地保存会の澤田勝会長=7月6日、鳥取市
濾過池の設置された上屋を説明する美歎水源地保存会の澤田勝会長=7月6日、鳥取市
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 災害を教訓に市はダム建設の第一人者、佐野藤次郎氏に設計を依頼し、11年に土製のダムをコンクリートダムに造り替えた。

(次ページ)>文化財として再生。そして…

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