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【三井美奈の国際情報ファイル】日本への「懸念」に違和感 「空文化」進む国連人権理勧告

 人権理に悩まされるのは日本だけではない。

 最近、欧州では国内司法で主張を却下された原告が個人通報制度を使って人権理に訴え、政府に圧力をかけようとするケースが相次ぐ。この制度は「一貫した組織的な人権侵害」を対象にしたもの。「人権大国」のフランスでは、警察のデモ対応から延命医療の是非まで、国内の問題が頻繁に人権理に持ち込まれる。

 国連は「途上国も先進国も平等」が原則だから、一般審査は順番に、全加盟国を対象にする。この「平等主義」も喫緊の問題への対応をにぶらせる一因だ。

 ケイ氏の報告書では、日本とともに中東やアフリカの状況も記された。「報道機関の閉鎖を止めよ」(トルコ)、「民兵を解体せよ」(コートジボワール)などの勧告と、日本への勧告が同列で扱われることに違和感を覚えざるを得ない。ケイ氏は今回、人権理に出した別の報告書で、政府のデジタル監視の広がりに警鐘を鳴らし、「中国政府は顔認識技術でウイグル人住民を監視している」と追及した。「日本の報道」と比べ、どちらの緊急性が高いかは自明のことだ。

 国家外交が立ち入らない人権侵害に、国連が光を当て、犠牲者を救う。人権理はこんな理想主義から生まれた。中国のウイグル人弾圧、サウジアラビア人記者の殺害問題など、国家責任に正面から切り込める国際機関は、いまや人権理だけだ。司法制度が正常に機能している国に、わざわざ干渉している場合ではない。

 理事会は06年、国連の人権への取組みを強化するため、前身の人権委員会に代わって設置された。「強化」の結果、公金と時間の無駄遣いが増えるだけなら、本末転倒だ。勧告の「空文化」が進むだけだろう。(パリ支局長)

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