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【最新電脳流行本事情】芥川の心情に触れ、“襦袢”にはまる 7月命日の文豪作品ランキング

 ノーベル文学賞の候補にも挙がった谷崎の私生活は、スキャンダラスだった。2度の離婚を経験しているが、最初の妻をめぐっては妻の妹や親友の詩人、佐藤春夫を巻き込む“四角関係”に発展し、妻を佐藤に譲る「細君(妻)譲渡事件」として当時の人々の耳目を集めた。

 谷崎はこの事件を小説『蓼喰(たでく)う虫』に投影したといわれ、『痴人の愛』も、谷崎の当時の妻の妹との関係をつづったとされている。谷崎作品はこうした歩みを知った上で読むと、より面白い。

 それにしても、同作を読んでいると、本当に文章がつややか…と書くと、私はすこぶる品が良さそうに思われる。実際のところ、「襦袢(じゅばん)」という一言が出てくるだけで頭が妄想でいっぱいになってしまう、一人の男なのである。

 気になって、どれだけ襦袢が登場するのか調べてみることにした。著作権が切れた文芸作品をインターネット上に公開している「青空文庫」にある『痴人の愛』の文字データを基に、どんな名詞や形容詞が、何箇所ずつあるのか自作プログラムで解析してみた。

 結果、襦袢が2カ所、長襦袢が2カ所。少ないにもかかわらず印象に残っていることが、恥ずかしい。

 さらに「接吻(せっぷん)」(8カ所。なお「キッス」は2カ所)と書くと上品だなぁと感じ、「ずるずるべったり」(2カ所)「淫(みだ)りがわしく」(1カ所)といった、読者の妄想をふくらませる表現の多彩さに舌を巻いていたところ、隣に座る女性記者の視線に冷たさを感じるので、谷崎の本を閉じる。

■お堅い鴎外

 3位の『舞姫』は言うまでもなく、若きエリート・太田豊太郎と、ドイツの踊り子・エリスの悲恋を描いた森鴎外の代表作。だが、個人的には鴎外の作品が苦手なのである。

 脳みそに登録されていない古い言い回しに、情景がぼんやり。外国の地名や人名を漢字で表記する個所も多い。送り仮名を振ってはいるが、例えば「維廉」はどこをどう読むと「ウイルヘルム」と読むのか考えてしまい、目が止まる。日頃文章をチェックすることが多い仕事をしている、悪い癖だ。

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