PR

ニュース プレミアム

日本脚本家連盟、後進育成に注力 「好きならチャレンジを」

現役脚本家で講師の横田理恵さん(右奥)の講義に耳を傾ける「脚本家クラス」の受講生=東京・六本木
現役脚本家で講師の横田理恵さん(右奥)の講義に耳を傾ける「脚本家クラス」の受講生=東京・六本木

 国内最大の脚本家団体、日本脚本家連盟(鎌田敏夫理事長、東京都港区)が後進育成に力を入れている。前身の組織から受け継いだ教育事業は来年で通算60年の節目を迎える。「ドラマや映画が好きで、脚本を書くことが好きならチャレンジを」と呼びかけている。  (大塚創造)

プロが教える2時間の講義

 東京・六本木のビルの一室。「シンデレラ」を題材に講師の横田理恵さんが脚本執筆の基本を説明していく。「ごくせん」(日本テレビ系)などこれまで人気ドラマを数多く手掛けてきた現役脚本家の横田さん。夜の12時までに戻らなければシンデレラにかけられた魔法が解けてしまう設定に、「“タイムサスペンス”が強調されることで緊張が高まる」などと話しながら、物語をシーンに分ける脚本執筆の基本技術「ハコ書き」の重要性について解説していく。

 講義は休憩を挟んでたっぷり2時間。受講生からは「書いていてキャラクターが変わっていくことは?」などと質問も相次ぎ、横田さんが丁寧に答えていた。

 連盟の前身となる日本放送作家協会は昭和34年に設立。脚本家らを育成する教育事業は翌35年から始まった。連盟は41年に結成(当時は日本放送作家組合)され、45年には協会から教育事業を受け継いで現在に至っている。

 連盟はスクールを主催し、ドラマや映画、アニメの脚本家を養成する「脚本家クラス」と、バラエティーや情報番組などの放送作家を養成する「放送作家クラス」を運営している。いずれも本科として、4月からと10月からの半年、週1回計22のカリキュラムを組む(受講料8万円)。脚本家クラスは昼と夜の2部制、放送作家クラスは夜の部のみで50人ずつを受け入れている。

 また、「脚本家クラス」の本科の修了者向けには、上級クラスとしてゼミナール形式の研修科も開設している。年2回(5~10月、11~4月=受講料5万8000円、2回目以降は5万5000円)、半年で12回の講座を用意。本科の受講は1回のみだが、研修科は何回でも受講できる。

「現役から教わることは刺激的」

 スクールの卒業生でもある横田さんは「書くことが嫌いにならないことがまず基本。とにかく続けることが一番」と強調する。

 その上で、脚本のコンクールを念頭に「いけそうな要素が5つあるとして4つ駄目でも、1つ良ければ生かすようにしている。駄目な方を矯正する方法もあるが、そちらをメーンにすると書くことがいやになってしまう。強みをどうしたら生かしていけるかアドバイスする方がモチベーションは上がる」と話す。

 受講生の一人で、小学生のときに「ごくせん」の大ファンだったという明治大4年の前田柊(しゅう)さんは、映画監督と脚本家を志望する。

 絶対に嘘をつかない大学生を描いた短編映画で監督・脚本を担当し、今年3月にTOHOシネマズ学生映画祭で準グランプリを獲得したことを契機に「本気で目指そう」と受講を決めたという。

 「現役で活躍している脚本家の方々から教わることは刺激的。普段目をそらしたくなるようなタブーを面白く伝えられるドラマや映画を作りたい」と目標を話す。

「どれだけプロを輩出できるか」

 NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)の「梅ちゃん先生」などを手掛け、スクールでは教室部長を務める現役脚本家の尾崎将也さんは「半年を通じて1時間ドラマを1本完成させること」と脚本家クラスの本科の目標について指摘する。

 後進を育てることについて、「『なんで自分のライバルになるかもしれない人を育成するの?』と聞かれることがあるが、新人が活躍する業界じゃないと、業界自体が活性化しない。そういう意味で商売敵になるかもしれない人を育てている」と話す。

 自身は大学卒業後に就職したものの28歳で退職。フリーライターなどをしながら本科と研修科に通い続けたスクールの卒業生でもある。

 スクールの意義について「独学との一番大きい違いは自分の書いたものをプロの脚本家が読んで、意見がもらえる。これがあるかないかは大きな違い」と強調する。

 自身のスクール受講時代を振り返り、「自分がプロになる過程で、先生に言われたあの一言がすごい大きなターニングポイントだったなというようなことはあります。例えば『大衆性というものにもっと目を向けろ』と。生徒のうちは自分の書きたいものを一生懸命書くが、人がどれほどそれを面白がってくれるかにはまだなかなか目がいきにくいところがある。観客はどう見るかということに視点を持っていけという意味合いだが、そういう視点を持てるターニングポイントがあったことは大きい」という。

 今後のスクールのあるべき姿について、「発展というより、いかに成果を上げるかということじゃないかと思う。つまりどれだけプロになる人をたくさん輩出できるか。そこのクオリティーを上げていくにはどうすればいいかと、試行錯誤を続けていく」と話す。

 長沢まさみさん主演のドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)など多くのヒット作の脚本を手掛けている古沢(こさわ)良太さんがこの4月から本科の講師に加わるなど、新鮮味を打ち出しながらの運営を目指している。

 尾崎さんは最後にこう語った。

 「テレビドラマや映画が好きで、脚本を書くことが好きで、これで生活できるようになりたいと思う人だったら、チャレンジするのはいいことだと思う」

日本脚本家連盟 昭和41年3月に設立され、現在1500人を超える脚本家が入会している国内最大の脚本家団体。放送局や番組制作会社との間で脚本の執筆条件や使用条件の改善を図るとともに福利厚生制度の充実も展開している。49年には脚本家と著作権の信託契約を結んで著作権管理団体としても活動。現在は管理著作物の放送やインターネット配信などの使用許諾、使用料の徴収・分配を行っている。

 日本脚本家連盟スクールの問い合わせは、03・3404・6761。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ