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【田村秀男のお金は知っている】財務官僚が無視する増税の「不都合な真実」

 消費税増税は経済にデフレ圧力を加え、景気を悪化させる。そのくらい、物知りの小学生だって知っているはずなのだが、なぜか大人の政治家や官僚、経済記者の多くは分かっていないらしい。

 消費税増税をめぐる動きは以下の通りだ。

 5月24日、日経新聞が社説で「消費税率上げ準備は着実に進めよ」と主張▽6月5日、自民党の甘利明選挙対策委員長が講演で「消費税増税の延期は絶対にない」と発言▽同7日、自民党が10月の消費税率10%を盛り込んだ参院選向けの公約発表▽8日、麻生太郎財務相が福岡市での20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会合で消費税率10%への引き上げを説明▽21日、政府が消費税率10%を明記した経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を閣議決定へ-。

 安倍晋三首相による増税実施の最終決断はまだだが、上記の流れは、首相が増税包囲網にがんじがらめにされ、逃れようがない情勢を物語る。

 財務官僚は御用新聞や与党幹部を説き付け、安倍首相の盟友で副総理でもある麻生氏を通じて、事実上、増税を国際公約させた。G20では米中貿易戦争や中国経済の失速を受けた世界経済の先行き不安にどう対応するかが焦点になったというのに、議長国日本がデフレと内需停滞を招き入れる消費税増税を誇示した。

 もとより、この手は財務官僚が得意とするところで、民主党政権時代では菅直人、野田佳彦両氏が首相のときに消費税増税を主要7カ国(G7)首脳会合などで表明させている。財政金融に疎い民主党政権要人は財務官僚の言いなりのままだったが、かつては税制に強い百戦錬磨の実力者が財務官僚ににらみをきかせた自民党も、今やこの体たらくである。

 しかし、策士、策に溺れ、ほころびは足下から露呈する。今月13日には財務省が内閣府と共管で実施している「法人企業景気予測調査」4~6月期調査結果を発表した。全国、全産業の94万社以上を対象とする大掛かりな調査で、信頼度は日銀の短期経済観測に引けをとらない。グラフは同調査結果をもとに作成したもので、調査時点は5月15日。

 その1週間前には米中貿易交渉が不調に終わり、トランプ米大統領が中国への輸入品2000億ドルへの制裁関税を10%から25%に引き上げ、残る対中輸入約3000億ドルにも25%とする準備に入った。1年前から減速を続けている中国経済は米中貿易戦争激化で弱体化の一途だ。その衝撃、チャイナ・ショックがすでに日本にも及んでいる。製造業、非製造業を問わず、4~6月期の景況はマイナスに落ち込んでいる。

 7~9月は秋の消費税増税前の駆け込み需要が見込まれるが、10月以降には内需型の非製造業が大きく落ち込む予想が多い。チャイナ・ショックと消費税増税ショックが重なる。財務省は自身が集めた不都合な真実を無視し、ひたすら増税へと首相を走らせる。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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