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【国際情勢分析】新外相の妻は日本人 距離感変わらぬインド外交

 その理由は、一帯一路構想の中にインドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方を貫く「中国パキスタン経済回廊」事業が含まれているからだ。蜜月にある中パ両国が、勝手に回廊整備を進めることは、インドとしては決して受け入れられることではない。

 ヴァルマ氏は会見で、一帯一路について問われ、「インドの立場は非常に明確だ」と前置きし、「領土であれ何であれ国家主権を侵害してはならないというのがインドの堅持している立場だ。一帯一路の下、ある事業で実際にインドの一体性が侵害された。われわれは一帯一路に調印も参加もしていない」と説明した。

 ならば、日本や米国が推進し、一帯一路の対立軸となりうる「自由で開かれたインド太平洋構想」についてはどうか。

 これについてもヴァルマ大使は「インドの立場は明確だ」とした上で「包括的ですべての国を巻き込むものでなければならない。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中心性が担保され、当該地域のあらゆる国に繁栄をもたらすものでなくてはならない」などと注文を付け、「議論が続いてる」と、反対はせずとも慎重な姿勢を示した。

 会見の当日は、中国の天安門事件から30年という節目の日。米欧諸国からは、中国政府を批判する声明が相次いでいた。

 ヴァルマ氏は、中国政府がいまだ事件を反省せず、インドに亡命している多くのチベット人の同胞が中国で人権弾圧にあっていることを問われても、「特定の国についてコメントするのは難しい」などとあらかじめ用意していたとみられる短い答えを示し、中国に気遣いした。

 日本とインドの親密度は、5年前のモディ政権発足でかなり強まったことは確かだ。しかし、その微妙な距離感は、官僚から政治家になったジャイシャンカル氏の下でも大きく変わることはなさそうだ。(外信部次長、元ニューデリー支局長 岩田智雄)

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