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【熊木徹夫の人生相談】母が“重たい”

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

 母との関係に悩んでいます。私は周りの社会環境に強い不安を感じたとき、しゃべれなくなる場面緘黙(ばめんかんもく)症で、幼いころはいじめにもあい、特別支援教室に通っていたこともあります。母はいつも私の周囲の人々に「こんな子です」と先回りして伝えるので、私は「要配慮の子」とレッテルを貼られ、腫れ物に触るように扱われてきました。

 私のために頭を下げてくれるのはありがたいのかもしれません。が、はっきり言って大きなお世話です。

 進路探しの見学にも母はついてきます。そんな時、私は終始下を向いてしまいます。母がいないときは周囲とコミュニケーションできるのです。母にはほどよく放っておいてもらいたい。反抗しても、頭ごなしに否定されます。どうすればいいでしょうか。(高校生)

回答

 どんなに足掻(あが)こうとも何物かに絡め取られてしまうような苦しさ、お察しします。こんな時、着眼を変えると、ヒントが見えてくることが稀(まれ)ならずある。現状のあなたにとり、大きな壁のようなお母さんは、これまで何を感じ考えてきたのか。いくばくかの想像を交え、さらにそこから思考を進めてみましょう。

 彼女は、かつて周囲への適応に苦しんでいたあなたを見て、ある種の衝撃を受けたのかもしれない。また、いじめられている様(さま)を見て「放っておくと大変なことになる」と悟った。そして「一生この子を守り抜く」との覚悟を決めた。そのためには、なりふり構ってはいられない。どんな人にも配慮を求めて駆けずり回る。後にあなたは、自我に目覚め、人生の様々(さまざま)な場面でことごとくあなたの自由を奪う母に対し、反抗を企てる。しかし「あなたに何が分かる。あなたを誰よりも分かっているのは、この私」と言わんばかりに、あなたの意思を封殺してしまう。

 これに対し、あなたはどう応じるべきか。ここからが私の提案です。

 まず「今になって分かったのですが、私の半生は母の愛に包まれていました。そしてそのおかげで、自我が育まれました」と、彼女を労(ねぎら)うことが大切です。

 そして願いを込めて、次のように言うのです。「今、私は信じています。まだ孵(かえ)ったばかりの雛(ひな)のような私が、いつか母の愛の力で飛び立つ。それを優しく見届ける大きく深い愛を、お母さんは持っているでしょう」。母子が互いに自己主張し合うのではなく、あえて双方の関係性を上から俯瞰(ふかん)し、その望ましい方向性を示してみる。彼女は「あっ」と何かに気づいてくれるはず。

 どうか、そうなることを願います。

回答者

熊木徹夫 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる」(中公新書)など。

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 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、相談内容を詳しく書いて、〒100-8078 産経新聞文化部「人生相談 あすへのヒント」係まで。

 〈メール〉life@sankei.co.jp

 〈FAX〉03・3270・2424

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