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「陰で暗躍が私の性分」推理作家協会トップに京極夏彦さん

日本推理作家協会の新代表理事に就任し、記者会見する作家の京極夏彦さん
日本推理作家協会の新代表理事に就任し、記者会見する作家の京極夏彦さん
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 「ずっと『お前だ』『お前だ』と言われ続けていたものですから、情にほだされて引き受けてしまいました」。5月27日に日本推理作家協会の総会が開かれ、トップの代表理事に作家の京極夏彦さん(56)が就任した。作家の今野敏さん(63)の後任で、任期は2年。東京都内で同日行われた会見では、冒頭の言葉のようなユーモアあふれる当意即妙のやり取りを重ね、会場を沸かせた。

 京極さんは平成6年に『姑獲鳥の夏』でデビュー。16年には「後巷説百物語」で直木賞を受けた人気作家だ。

 「あのお、基本的にですね…」。会見で自らの性格分析を求められた京極さんは「リーダーシップを取るよりは、後ろから支える、陰で暗躍する。正々堂々と闘うよりは、待ち伏せする-という方が多分私の性には合っているでしょう」と笑いを誘った。

 「ですから画策していろんなことをするのは嫌いではございませんが、中心人物として旗頭になるのは56年間の人生を振り返ってもそんなに好きではない。ただ一応決まってしまった以上は、できる限りみなさんにご迷惑をかけないように運営をしていきたいなと考えております」

 日本推理作家協会の前身は昭和22年に発足した探偵作家クラブ。初代会長は江戸川乱歩(1894~1965年)だった。現在の協会の正会員は、作家や評論家、漫画家ら約670人。公募によるミステリー文学賞の最高峰といわれる江戸川乱歩賞や日本推理作家協会賞を主催している。

 今年の日本推理作家協会賞の受賞作には、ホラーの書き手による短編やSF評論が並んだ。近年は狭義の「推理」「ミステリー」の枠に収まらない良作が増えた印象がある。

 「ミステリーという範囲が非常に広くとらえられている以上、われわれはエンターテインメント小説並びにそれにたぐいするものを作り出す人たちの職能団体であると考えている。日本推理作家協会賞も、もちろん優れた推理小説に与えるという名目ではありますが、日本を代表するエンターテインメント小説に与える賞だと認識していただきたい」と京極さん。話題は深刻化する出版不況にも及んだ。

 「私たちがカバーしているのは面白い作品です。で、面白い作品が売れないのはおかしいんです。面白い作品を書く会員がこれだけいるんですから、もっとそういうものが読まれ、読者が喜ぶような社会が作られるといいな、という理想は持っております。少しでもそうした状況に近づけるように歩いていきたいなと。途中で転ぶかもしれませんけれども…」

 会見には前代表理事の今野さんも同席。重責を担う京極さんを称え、こうエールを送った。

 「京極夏彦は、何か問題が起きたときに、いち早く物事の本質を見る能力があるんですよ。議論が百出するなかで『つまり、それはこういうことでしょ?』とひと言で言えるのはこの人。そういう能力は余人をもって代え難い。彼が『これをやろうよ』と言ったら、サポートしたがる人間がいっぱい出てくると思います」

(文化部 海老沢類)

 

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