【花田紀凱の週刊誌ウオッチング】〈722〉雑誌の行方
ABC協会(Audit Bureau of Circulations=新聞・雑誌部数公査機構)2018年下半期(7~12月)の新聞、雑誌の実売部数が発表された。
総合週刊誌では『週刊文春』が30期連続1位。といっても、前年同期に比べると約5万部減。
(1)『週刊文春』 31万3833
(2)『週刊新潮』 21万3879
(3)『週刊現代』 21万3547
(4)『週刊ポスト』 19万5704
(5)『週刊大衆』 8万1406
(6)『週刊朝日』 7万2683
(7)『週刊アサヒ芸能』 5万4930
(8)『AERA』 4万0118
(9)『サンデー毎日』 3万4953
(10)『ニューズウィーク日本版』
2万6067
どこも苦戦中。広告の入り具合から考えて『文春』を除くと赤字だろう(この点は推測)。
ちなみに月刊の『文芸春秋』でさえ21万2269で前年同期比約3万部減。
こんな状況だから、各誌、取材に時間も取材費もかけられないのはわかるが、『現代』『ポスト』(最近は『週刊朝日』も)のように毎号、毎号、同じような老後のカネ、病気の記事ばかりでは、正直、読む気にならない。
今週は『ニューズウィーク日本版』(6・4)20ページの大特集「百田尚樹現象」に尽きる。というか読むべき記事はこれだけ。完売状態は当然。
同誌でこれまでにも「沖縄ラプソディ」など優れたリポートを発表してきた石戸諭さん(ノンフィクションライター)の執筆だが、時間をかけた綿密な取材で(ぼくも取材を受けた)、百田尚樹という作家の〈意外な素顔〉に迫っている。
『文春』(6月6日号)が「『これ以上、公務はできない』紀子さまの自信喪失」、『新潮』(6月6日号)が「脛に傷あるパチンコ社長と韓国二人旅という『紀子さま』ご尊父」と、今週も秋篠宮家のゴシップをやっているが、中身は薄い(特に『新潮』)。
いったい、誰が何のためにこんな情報を流しているのか。そちらの方が問題だ。
(月刊『Hanada』編集長)