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【大相撲徳俵】炎鵬、喝采と困憊の15日間「勝ち越せなければ意味がない」

大相撲夏場所初日、自分の倍近い体重の徳勝龍(右)を寄り切りで破る炎鵬=5月12日、両国国技館
大相撲夏場所初日、自分の倍近い体重の徳勝龍(右)を寄り切りで破る炎鵬=5月12日、両国国技館
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 平幕朝乃山の初優勝、トランプ米大統領の大統領杯授与と異例ずくめで幕を閉じた大相撲夏場所で、人気を不動のものにした力士がいる。新入幕の炎鵬(えんほう)=宮城野部屋。168センチ、99キロの小柄な身体を生かし、相手の懐に飛び込んだり、土俵を所狭しと動き回ったり。千秋楽に負け越しが決まって「力不足です」と肩を落としたが、横綱白鵬、大関貴景勝が休場した“主役不在”の夏場所を大いに盛り上げた。

 ファンを魅了するのは、独特の取り口だ。3日目の佐田の海戦では、立ち合いでしゃがみ込むように相手の懐に飛び込み、相手の右脚をとって一気に土俵外へ。6日目の矢後戦では右前まわしをつかんで回転し、「上手ひねり」という珍しい決まり手で相手に尻餅をつかせた。「小よく大を制す」という相撲の妙味を体現できる力士である。

 平成6年10月18日。炎鵬は予定より1カ月ほど早く、約2000グラムで生まれた。小学生のときに相撲を始めてからずっと、小柄な体で戦ってきた。「小さかったから今があると思っている。自分の体でしかできない発想、動かし方がある。人とは違う強みがある」。この体は大きな武器だと考えている。

 端正な顔立ち、奇想天外な取り口が話題を呼び、声援は日に日に大きくなった。そんな中で炎鵬は、蓄積する疲労に苦しんでいた。

 13日目の明生戦で右脚の太ももを痛めた。それだけではない。中日ぐらいからは首の左側が腫れた。相撲で痛めたわけではなく、ストレスなどが原因と思われる。

 十両時代とは比べものにならない視線を集め、連日報道陣の取材に対応。国技館からの帰りにファンからサインや記念撮影を求められると丁寧に応じた。想像を絶するプレッシャーがかかっていたはずだ。

 中日ぐらいには、「足が前に出ない」とこぼしていた。連敗が続いた終盤には、「こんなに相撲をつらいと思ったのは初めて」とも漏らしていた。期待の大きさは重々承知している。その期待に応えられないもどかしさと必死に戦っていた。

 前頭12枚目で7勝8敗の成績。けがや疲労と戦いながら15日間を戦い抜いた。「7番勝てたというのは一つの収穫。だけど勝ち越せなければ意味がない。『小さいから』といわれるのは嫌なので」

 7月の名古屋場所も幕内で相撲をとることになるだろう。まずは心身の回復に努め、今回味わった悔しさを来場所にぶつけてほしい。(運動部 浜田慎太郎)

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