PR

ニュース プレミアム

【変わる法廷 裁判員制度10年(4)】刺激的な遺体写真 証拠採用の是非、検察と裁判所が攻防

その他の写真を見る(1/2枚)

 「鬼気迫るような顔」

 神戸地裁で開かれたある殺人事件の公判で裁判員を務めた50代女性は審理期間中、夫からこう心配された。公判では被害者が暴行を受けた凄惨な写真を目にし、事件関係者の会話音声も聞いた。その様子が夜、夢に現れた。

 病院で勤務した経験もあり、公判で見る証拠に不安はなかったが、振り返ると「しんどかったのかも」。今も裁判所のメンタルヘルスサポート窓口のカードを持つ一方、「何が起こったかを知るには刺激の強い証拠も必要かもしれない」と揺れる心境を吐露した。

 「裁判所が必要性を認めない傾向にある」。稲田伸夫検事総長は2月の会議で裁判所の訴訟指揮に言及する異例の訓示をした。遺体写真など刺激的な証拠の採用に「裁判所が消極的すぎる」(検察幹部)との問題意識を代弁したものだ。

 別の検察幹部が「裁判所の腰が引けたきっかけ」と指摘するのが、平成25年3月に福島地裁郡山支部であった強盗殺人事件。裁判員の女性が「遺体写真などを見て急性ストレス障害になった」と訴え、国家賠償を求める訴訟にも発展した。

 これを受けて東京地裁は裁判員の精神的負担に配慮し、証拠採否を慎重に吟味(ぎんみ)するとの申し合わせを取りまとめ、同様の取り組みが全国に広がった。

 以降、裁判所は争点判断に必要な場合のみ刺激証拠を採用する傾向にあり、採用しても白黒化やイラスト化などの加工を施す例も多い。全身の傷を人型に線で書き込むなど大幅に簡略化するケースまである。

 こうした裁判所の慎重姿勢に検察内部で不満が渦巻く。東京高検の横田希代子総務部長は今年3月の裁判員制度検討会議の場で、刺激証拠の加工は「事案の真相を明らかにする目的からも乖離(かいり)する」と訴えた。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ