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裁判員10年 裁判官インタビュー(5)「本質を考える機運高まった」東京地裁・守下実裁判官(53) 51件担当

東京地裁の守下実裁判官=4月15日、東京都(萩原悠久人撮影)
東京地裁の守下実裁判官=4月15日、東京都(萩原悠久人撮影)
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(聞き手・加藤園子、件数は担当した1審裁判員裁判の数)

 --裁判員裁判の導入で刑事裁判に変化はありましたか

 「僕が任官した当時は、『精密司法』と呼ばれた戦後の刑事訴訟が固まっていたころ。その時から比べると、従前、法律専門家が当然だと思っていたことが本当に正しかったか、法律の本質や趣旨に照らして考える機運が高まったと思います」

 「例えば量刑。これまである程度の相場があって、被告人の有利な事情、不利な事情をピックアップし、それぞれを総合して判決を書いていました。ところが裁判員の方が議論に入り、なぜその事情が量刑を動かす理由になるのか、改めて考えるきっかけとなりました。具体的にいうと、有利な事情の例に『前科がない』というものがありますが、『前科がないことがなぜ有利なんですか。私だって前科はありませんよ』という疑問が裁判員から出ます。確かにそうだなと思いますよね。そうして議論が深まることがあります。評議でも多様な視点が出てくるので刑事裁判の全体の活性化にもつながったと思います」

 --裁判官の仕事の変化はありますか

 「刑事裁判官は、コミュニケーション能力を求められる場面が増えたと思います。裁判員制度の導入に伴って始まった、公判前整理手続きでは事件の姿が見えない段階から順を追って検察官と弁護人に主張を出してもらい、争点を整理する。ぎりぎりとした対立にもなります。難しいのは弁護人がなかなか主張を出さないケースがあること。どうやって適切な期間内に争点整理を行うかが腕の見せ所です。期日の調整はある程度、先を見越して予定を組まないといけません。ある程度、見極めつつ、逆算して準備を進める。慎重になりすぎるとものすごく期日が先になる。当事者から有益な情報、真意を確認するのはコミュニケーション能力だと思います。こうした検察官と弁護人の間に入って、日程調整するという役割は従前ではなかったことです」

 --10年間で裁判員裁判は変化しましたか

 「当初は手探りで、裁判自体を遂行しようという感じでしたが、最近は裁判員裁判がだいぶ定着してきて、裁判員制度の趣旨をどう生かすかに裁判所の問題意識が生じています。裁判官と裁判員が協働して内容を決定するという趣旨を、徐々に生かすことができています。もっと生かさないといけません」 

 --協働のために何を意識していますか

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