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裁判員10年 裁判官インタビュー(4)「血の通った裁判を」東京地裁・家令和典裁判官(58) 約100件担当

東京地裁の家令和典裁判官=4月12日、東京都(酒巻俊介撮影)
東京地裁の家令和典裁判官=4月12日、東京都(酒巻俊介撮影)
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(聞き手・加藤園子、件数は担当した1審裁判員裁判の数)

 --裁判員裁判に期待することは何ですか

 「裁判員の方が加わることで、血の通った裁判になることが大事だと思います。裁判員“制度”がクローズアップされがちですが、結局、被告人が納得する裁判を実現しなきゃいけない。一般事件の裁判もそうですが。私が実践しているのは『説諭』。判決前に評議室で、被告人に伝えたいことがあったら言ってくださいと話すと、裁判員から言葉が出てきます。それを私なりに咀嚼(そしゃく)して説諭で告げるようにしています。判決宣告の場面は非常に大事だと思っていて、判決はかみ砕き、説諭も被告人の将来を見据えたことを言うようにしています」

 「裁判員裁判が終了すると、毎回、裁判を担当した検察官、弁護人、裁判官の3者で『反省会』をしています。最近、弁護人から被告人の書いた手紙を受け取りました。『家令裁判官をはじめ、あの日を担当してくださった皆さんが真剣に議論して下した判決と、判決の日に授けられた言葉を私は深く胸に刻み込んでおります。これからを誠実に生き続けることは義務であり責任であると感じています』。こういった趣旨の自筆の手紙でした。執行猶予になった被告人で、説諭の時はまさに、裁判員の意向を踏まえて言います、と伝えたのです。この事件で特別にしたことではないですが、この被告人に響いたのでしょうね」

 「裁判員も自分たちで決めて、言い渡されていることに感じ入って、法廷から帰ると涙ぐんでいる方もいる。一生懸命考えたことですから。分かりやすく判決を言い渡し、説諭すべき被告人には説諭する。裁判員もそれで参加してよかったと感じていただけます」

 --制度の導入で刑事裁判はどう変化しましたか

 「まず外から見えにくい変化としては、証拠開示が実は大きい。裁判員裁判が実施されることを前提に、公判前整理手続きで証拠開示を充実させることが、はっきりと制度化されました。検察官が手持ちの証拠を抱え込み、自分たちが必要なもののみを開示するのが、従前の裁判スタイルでした。ところが証拠開示制度ができたので、むしろ見せるのが前提になってきた。ある意味、お互い隠し球を持たない状態で裁判が行われるようになりました。証拠開示が大きな変容を遂げたと言えます。証拠開示については長い歴史があります。検察官と弁護人の攻防があり、本当に大問題でした。それが裁判員制度導入を契機にある意味、大きく解決しました。それでも裁判員裁判の導入当初は弁護人が証拠開示を請求すると、検察官が必要性がなく、弊害があるとして拒否するケースがありました。が、次第に検察官は請求を待たず任意に、幅広に、証拠を見せるという姿勢を取っています」

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