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【山本一力の人生相談】息子の進路選択、世間の価値観に疑問

相談

 わが家の高校2年の長男は、卒業後、大学には行かず、調理の専門学校に行くと言っています。

 今や人生100年といわれますが、息子はまだ16歳。料理の道に入るのは、大学を出てからでも遅くない。今、道を決めてしまうのは早過ぎると、親の私は考えています。

 一方で、私の脳の奥には少し矛盾した考えもあります。それはよほどいい大学以外、進学自体に果たして意味があるのだろうかという思いです。「息子を大学に行かせたいのか行かせたくないのか、どっちなのか」というご指摘を受けそうですが、そんなもやもやした迷いもありどんな道に進むのが息子にはベストなのか悩んでいます。アドバイスをいただきたいです。(50代、会社員)

回答

 貴兄(きけい)の年代から、ご子息と同じ高2時代は1980年代と拝察する。

 激烈な受験戦争時代だったと聞く。

 貴兄は来る社会をどう想像し、進路選択をどうしようと考えておられたのか。

 また当時のご両親の様子は、いかがだったのか。日々、あれこれ案じておられたものと、勝手に思い込ませていただいた。

 人生100歳時代と貴兄はいわれる。

 ならばこの先いかなる社会が到来し、ご子息がその社会で、いかなる生き方をしていくのだろうか。

 世を挙げてAIまっしぐらに見える。

 今日の新技術が、明日には陳腐化するという速度で、時代は疾走している。

 熟練を極めて体得できた技ですら、人工知能が取って代わろうとする。

 こんな時代なればこそ、たとえば人間味に富んだ「食の技」に、多くの若者世代が惹(ひ)かれるのではなかろうか。

 ご子息が調理師に興味を抱いておいでなのも、時代ならではの趨勢(すうせい)かもしれぬ。

 他方では高卒後に、最先端IT分野への就職を求める分厚い層があるそうだ。

 大学で学ぶ時間を、実社会で経験を積む時間に使うという。IT習得には高卒のほうが有利だとの声を、幾つも耳にした。

 思い返していただきたいのだが。

 貴兄が16歳でぼんやりと描いた未来像に、両親はいかなる判断を示されたか。

 そして貴兄は、どう応じたのか。

 古来、子を持って初めて知る親の恩という。いま、その番がめぐってきた。

 過ぎた時間のなかで社会は激変し、かつては存在しなかった職種も多彩に増えた。

 が、昔ながらの職人も存在している。

 決めつけず、子と向き合い、話し合うのが、いまの貴兄の務めでは。

回答者

山本一力 作家。71歳。平成9年「蒼龍」でオール読物新人賞を受賞しデビュー。14年「あかね空」で直木賞受賞。近著に「牛天神 損料屋喜八郎始末控え」(文芸春秋)、「長兵衛天眼帳」(角川書店)、「落語小説集 芝浜」(小学館文庫)。

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 〈メール〉life@sankei.co.jp

 〈FAX〉03・3270・2424

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