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【酒呑み鉄子の世界鉄道旅】世界のスターシェフも注目するマカオ・香港 美食2都市を食べ歩く<マカオ編>

日本のシェフもたくさん登壇した2019年版「アジアのベストレストラン50」(写真は、2019年版「アジアのベストレストラン50」公式)
日本のシェフもたくさん登壇した2019年版「アジアのベストレストラン50」(写真は、2019年版「アジアのベストレストラン50」公式)
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 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅 番外編】ここ最近、食べ歩きが好きな人の間でマカオが脚光を浴びている。少し前までは、マカオのイメージといえばカジノへ行くか、香港旅行のついでに立ち寄る場所だった。そんなマカオが変わったのは、政府が観光客の誘致に力を入れた以外にも、いくつか理由がある。

 ひとつは、2017年にマカオが「ユネスコ創造都市ネットワーク」の食文化(ガストロノミー)部門に認定され、政府が2018年を「2018マカオ美食年」として世界的にプロモーションを行ったこと。

 もうひとつは、2018年に「アジアのベストレストラン50」というレストランランキングの授賞式の誘致に成功したこと。これは“レストラン界のアカデミー賞”とも言われるイギリス発の世界のレストランランキングのアジア版で、2013年から毎年発表されている。授賞式自体はストリーミング配信され、世界中どこからでもリアルタイムで視聴できる(現場では熱気を感じられる)が、この授賞式に前後して、マカオはもとより香港でも数えきれないほどのフードプロモーションイベントが繰り広げられる。ターゲットは、この授賞式のために世界各国からやって来た食業界関係者やシェフ、ジャーナリストなどだ。

 現地で取材した中から、マカオと香港でレストランを楽しむコツを、4つのチェックポイントに絞ってご紹介したい。

(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文、取材協力=香港エクスプレス) 

四川料理店「川江月」を手がけるのは、シンガポールのフランス料理店「レストラン アンドレ」(現在は閉店)を世界に名だたる名店にした台湾人シェフ、アンドレ・チャンさん
四川料理店「川江月」を手がけるのは、シンガポールのフランス料理店「レストラン アンドレ」(現在は閉店)を世界に名だたる名店にした台湾人シェフ、アンドレ・チャンさん
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日本の食材のほか、佐賀県の有田焼き「李荘窯」の器も数多く使われている
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四川料理の定番のひとつ「麻婆豆腐」は、4つの味と食感が異なる豆腐で味わう。全26皿のめくるめくコースは、至上の体験だ
四川料理の定番のひとつ「麻婆豆腐」は、4つの味と食感が異なる豆腐で味わう。全26皿のめくるめくコースは、至上の体験だ
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 チェックその1は、今マカオを旅するなら絶対に行きたいレストラン。今年3月、IRリゾート「ウィン パレス」にオープンしたばかりの四川料理店「川江月」では、一般的に想像する“激辛の四川料理”とはまったく次元の違う料理を味わえる。四川料理は、辛味や酸味、旨味など24の味わいをベースに構成されているそうで、その24味を変幻自在に組み合わせた味覚は、初めて体験するものも非常に多かった。たとえば四川料理特有の、舌や唇がピリピリする辛味も、さらりと軽やかなものから、喉の奥を刺激するものまでさまざま。これまでのイメージを一変する四川料理を、ぜひ体験してほしい。

「Yi」では広東料理をベースに、上海、潮州、四川、客家などさまざまな中国料理の技法を取り入れている
「Yi」では広東料理をベースに、上海、潮州、四川、客家などさまざまな中国料理の技法を取り入れている
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広東料理でおなじみの点心もひと工夫。コースメニューは、ほぼ毎日新しい料理が組み込まれる
広東料理でおなじみの点心もひと工夫。コースメニューは、ほぼ毎日新しい料理が組み込まれる
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 チェックその2は、今ローカルの人たちに話題の中国料理店。マカオでは、マカオ料理やポルトガル料理も楽しめるが、中国料理も味わっておきたいもののひとつだ。

 マレーシア出身と香港出身のふたりのシェフが手がける「Yi」は、ここでしか体験できない独創的な「クリエイティブチャイニーズ」料理を、おまかせスタイルで味わえる。メニューは「湯」「鮮」「海」などの漢字一文字だけで記載され、その文字からイメージする料理を、ふたりがお互いの知識と技術、感性を共有しながら共同で作り上げる。世界中から取り寄せた極上の食材に加えて、地元マカオの魚介類なども使われるのも魅力だ。2018年7月にオープンした、天才女性建築家と謳われた故ザハ・ハディド氏が手がけたデザインホテル「モーフィアス」21階にある。

フランスのレストラン「レストラン ミラズール」は、2019年版のフランスのミシュランで三ツ星に昇格したばかり。2018年版「世界のベストレストラン50」では第3位
フランスのレストラン「レストラン ミラズール」は、2019年版のフランスのミシュランで三ツ星に昇格したばかり。2018年版「世界のベストレストラン50」では第3位
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シェフのマウロ・コラグレコさんは、IRリゾート「MGMコタイ」にある熟成肉ステーキハウス「Grill 58」をプロデュースしている
シェフのマウロ・コラグレコさんは、IRリゾート「MGMコタイ」にある熟成肉ステーキハウス「Grill 58」をプロデュースしている
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 チェックその3は、世界のトップシェフのアジア訪問。日本をはじめマカオや香港、バンコク、シンガポールなど、世界的に有名なシェフもアジアに注目していて、短期間だけ出張イベントを開催したり、その国のシェフと共同でイベントを開催したりしている。日付は限定されるが、マカオや香港ではしばしばイベントが行われているので、イベントに合わせて旅行のスケジュールを組むのも楽しいだろう。

 私が参加したのは、「レストラン Mirazur(ミラズール)」のシェフ、マウロ・コラグレコさんによるポップアップディナー。「レストラン ミラズール」は、イタリアとの国境に近い南フランスの「マントン」という街にある。ニースの海岸線を一望する、全席がパノラマビューの美しいダイニングと、こじんまりした小さな自宅、どんどん面積を増やしているというオーガニック農園が徒歩5分の距離にあり、海とレモンが香るレストランのエッセンスがマカオに届けられた。

日本の4人のトップシェフによる「8ハンズランチ」より、東京「傅」の長谷川在佑さんの「フォアグラ最中」
日本の4人のトップシェフによる「8ハンズランチ」より、東京「傅」の長谷川在佑さんの「フォアグラ最中」
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東京「フロリレージュ」の川手寛康さんと長谷川在佑さんによる「炊き込みご飯・牛タン煮込み トリュフ」
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大阪「ラ シーム」の高田裕介さんによる「筍と豚スペアリブ」
大阪「ラ シーム」の高田裕介さんによる「筍と豚スペアリブ」
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福岡「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の福山剛さんによる「新玉ねぎ・ハマグリ・グリーンピース」
福岡「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の福山剛さんによる「新玉ねぎ・ハマグリ・グリーンピース」
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 チェックその4は、その時その場にいなければ味わえないコラボレーションイベント。チェックその3でもお伝えしたように、マカオや香港では、しょっちゅうイベントが開催されている(もちろん日本でも開催されている)。日本からも多くのシェフが訪れ、マカオや香港のスターシェフと一緒にイベントを開催している。未だ知らないシェフの料理を体験する機会にもなるが、好きなシェフ同士のコラボレーションには特別な楽しみがある。イベントのためだけに考えられた、その時限りの特別なひと皿が登場することも多い。旅行が決まったら、レストランのイベントをチェックするのもおすすめだ。

 私が参加したのは、「アジアのベストレストラン50」授賞式の関連イベントとして開催された、日本の4人のトップシェフによる「8ハンズランチ」。東京「傅」の長谷川在佑さん、東京「フロリレージュ」の川手寛康さん、大阪「ラ シーム」の高田裕介さん、福岡「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の福山剛さんという、レストランに関心がない人でも名前くらいは聞いたことのあるような日本を代表する4人が、1回限りのチームを組み、腕を振るった。

右から、福岡「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の福山剛さん、東京「フロリレージュ」の川手寛康さん、大阪「ラ シーム」の高田裕介さん、フランス「レストラン ミラズール」のマウロ・コラグレコさん、東京「傅」の長谷川在佑さん
右から、福岡「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の福山剛さん、東京「フロリレージュ」の川手寛康さん、大阪「ラ シーム」の高田裕介さん、フランス「レストラン ミラズール」のマウロ・コラグレコさん、東京「傅」の長谷川在佑さん
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大型IRリゾートが次々とオープンするマカオのコタイ地区。写真は、授賞式前後にパーティが開かれた「ウィン パレス」のプールサイド
大型IRリゾートが次々とオープンするマカオのコタイ地区。写真は、授賞式前後にパーティが開かれた「ウィン パレス」のプールサイド
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 最後に、2019年版「アジアのベストレストラン50」のランキングについて。今年は50店中10店が新しくランクインするなど、入れ替わりが目立った。日本からは12店がランクインし、国別では最多となった。関係者による事前予想では、東京のレストランのワンツーフィニッシュが期待されたが、結果としてはシンガポールのレストラン「オデット」が首位に立った。

 その理由は、「日本にはレベルの高いレストランが数多くあり、票が割れてしまったこと」「日本のレストランは予約が取りにくく、そもそも投票者が行けないこと(投票者は18ヵ月以内に食事しなければ、その店に投票できないというルールがある)」に加えて、国や企業がほとんどサポートをしないことにあると私は思う。他の国や地域では、政府や自治体、企業がスポンサーとなり、投票権を持っているかもしれない(投票者は各国や地域の代表者1名以外は完全覆面というルール)人や影響力のある人を招いたり、宿泊や観光を提供したりして、その土地の食文化を体験し、発信しやすい環境をつくっている。ところが日本では、個人事業主のシェフが、毎日レストランを営業しながら、ひとりで世界に立ち向かうというかわいそうな状況だ。

 日本代表を務める中村孝則氏は、「国別で最多のランクインという結果はすばらしい。一方で、近年は急速にアジア各国のレベルが上がり、わずかな差が勝敗を決める厳しい状況もある。ランクインしたレストランを始め、日本の食文化は、世界最高峰のすばらしいもの。それらを世界に伝えるために健闘しているシェフたちの努力を、多くの人に知っていただきたい」と話す。

 2020年には、授賞式が日本で開催される可能性もあるそうだ。オリンピックも大切だが、こちらにもぜひ注目していただきたい。

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